血濡れぬ花 (ページ4)

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日向の予感ページ4

「ふぅ〜……食った……」
腹を擦りながら審神者は自室に戻る。途中、短刀達や縁側で茶を嗜む刀達に一言声を掛けたり、午後からの遠征に行く刀達にも声を掛けては部屋に戻る。

「さて……と……」
審神者は座椅子に腰掛けると、書類をペラペラ捲りながら事務仕事を再開した。

(まぁ、この調子だと今夜は徹夜かなぁ……)
と、自分の体調の事など考えていれば外から足音が聞こえてきた。審神者の部屋の前で止まった足音は障子越しに声を掛けてきた。

「主、少しいいかな……」
「……ん？その声は日向か？」
審神者は持っていた書類を置き日向を部屋に招き入れる。刀剣達が嫌いだからでは無いが業務中は近侍や急ぎの用事を持った刀以外は部屋に入らない様に審神者が決めているのだ。

「失礼するよ」
一言断りを入れ、日向は部屋に入ると襖を閉める。

「ん、どうした？何かあったのか？」
審神者は日向に座布団を差し出し座る様促した。ありがとうとお礼を言い座布団の上に腰をかけた日向は言葉の選び方に困った様子を見せながらも口を開いた。

「特命調査の件……こんのすけから聞いたんだ」
「おー、そうか。……で、訪れた用事は調査部隊に入れて欲しいからか？なら、他の刀達のバランスも考えて……」
「違うんだ！！」
審神者の言葉を遮るように日向は大きな声で否定する。あまりの声のデカさに審神者は思わずビクリと体を跳ねさせた。

「あ、ごめん……主を驚かせるつもりは無くて……」
「い、いや大丈夫だ、続けてくれ…」
日向の声に驚いた事を誤魔化そうと審神者はワタワタと手を振りながら苦笑いを浮かべた。

「これは僕の予感でしか無いけど……僕はきっとその監査官の正体を知っている」

その一言に審神者の目が大きく開いた。