溶けそう【山田一郎】

溶けそう５ ページ6

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ﾌﾟﾙﾙﾙﾙﾙと携帯から音が鳴る
それだけで変な汗をかく


急にその機械音が止まる、ひぇ、ダメだ緊張が…


「毎度ありがとうございます。萬屋ヤマダです。」


私の大好きな声が耳に直接入ってくる
あっ、もうダメだ好きが溢れる



『あっ、あの、◯◯音楽大学の者なのですが………』


不器用ながらも詳細をひとつずつひとつずつ話していく


「………それは大変ですね。いますぐ手配します。二郎、三郎！いますぐ楽器搬送会社にトラック借りれるか連絡入れろ！」


えっ、本当にやってくれるの？え、すごくない？一郎くんってば本当にすごくない？



『すみません、急な用なのに……お手数おかけして……』

「いえいえ、今日は仕事が入ってなくて暇してたんです」

『それならそれでおやすみを潰してしまって……』

「いやいや、お客様のお役に立てるだけ嬉しいことですよ」



あぁ、ほんともう、お仕事中もプロ意識発動……だめだほんとに好きすぎる……


「あ、スンマセン、そちらに向かう時連絡入れたいので連絡先って教えて貰えますかね？」


『は、はいっ！わかりました。』


連絡先を教え、電話を終えた

お、教えてしまったーーーー！！！いや別に仕事だししょうがないよね？ないよね？
嫌でも別にお近付きになりたいとかじゃなくてさ？これ友達から頼まれたやつだし断れないじゃん！



『……仕事してる一郎くんもかっこいい』



顔は見えなかったけど、ほんとにかっこよかった声だけでわかる



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