溶けそう【山田一郎】

溶けそう３５ ページ36

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テレビニュースになって、ネットが荒れると思いきやそうでもなかった。

確かに一郎くんとの交際を否定するような発言もなくは無かったけど、それは一郎くんの熱狂的なファンの中でも極1部しかいなかったからだ


お似合いだ、という声は少なくなかった。

浮かれそうだから甘やかさないで欲しい、結構嬉しい



まあ、やはり世間一般の意見よりマイナス意見ががひとつでもあったらそっちに気を取られてしまう。私の悪い癖だ。そちらに気を取られすぎて、この前みたいに一郎くんに甘えてしまう。


『……しっかり、しなきゃだよね』


よしっ、今日もピアノの勉強だー！！



「……ねえ、君」


今日はバッハからやろう、あまり経験ないし


「聞こえてる？そこの君」


次のオケの仕事は随分先だし、集中して練習曲仕上げよう




「波多野A！！！！」



『はっはい！！』



びっくりした、急に大声で名前呼ばないでよ誰だよ………



「俺がさっきから呼んでるのに無視とはどういうことだよ。」


こ、この人………三木尚也！？

この人は日本、いや、全世界で有名なヴァイオリニスト。日本にファンは少なくない、何たって顔がいいから。最近の日本人イケメンばかりよね。一郎くんには劣るけど
いやでも待って、ウィーンに留学中だって聞いたんだけど…なんでいるの？！



『み、三木先輩、ですよね？3年生の…』


「今日は波多野に頼みたいことがあってわざわざウィーンからやってきた」


ウィーンを強調すな！私に頼みたいこと、ってなんだろう？


『頼みたいことってなんですか？萬屋なら紹介しましょうか？』


「違うね、俺は君にコンクールの伴奏をお願いしたい。」





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『…………ということがあってさ』



「おー！Aついに世界的に有名なヴァイオリニストに認められたのか！」


『いや、認められたのかは知らないけど…』


今回はモーツァルトだった。私が苦手なモーツァルト。


『私、がんばるよ、もっと上達するにはこれもいい機会だと思うの！』


「(頑張ってるAかわいい)………今日は俺がパフェ奢ってやる」


『わーい！やった！一郎くんだいすき！』




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