溶けそう【山田一郎】

溶けそう３１ ページ32

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外であってまた2人で会ったところ見られたら困るから、私が山田家に行くことになった

ラフな格好で、あまりバレないように



「Aいらっしゃい！」


一郎くんは何故か嬉しそうだった、あんな記事が出たのに


「ココア飲む？」


『うん、のむ』


一郎くんは鼻歌を歌いながらココアを淹れ始める
すごいご機嫌だな……どうしちゃったの


「ん、できた」


一郎くんがコトンとココアをテーブルに置いた



『あ、あの！迷惑かけてごめんなさい！』


私がばっと頭を下げる


「なんでだ？あの記事のことなら気にすんな。俺はバレても大丈夫だし、人にバレたら困るような恋愛はしたくない」


あぁ、一郎くんってこういう人だった
周りに流されない素敵な人だ。こういうところ好きになったんだ。


「Aはバレるの嫌だったか？」


『ううん、全然。こういうこと言うのもあれかもだけど、むしろ、一郎くんは私のというか……あっ、いやごめん忘れて』


やばい、やらかしたつい本音を言ってしまった


「俺も同じ。Aが有名になればなるほど遠くなっていく感じがして、昨日あんなことしたが俺はAが俺の彼女だって広まってくれた方がいい。Aの周りの男も少しは意識するだろ。こいつ彼氏持ちだったってな。」


一郎くん、そんなこと考えてたんだ……なんか嬉しいな、私と同じこと考えてる


『私ずっとね、夢があったっていうのもあるんだけど、一郎くんに見合う女の子になりたくてピアノがんばってるよ。遠い存在の一郎くんに追いつきたい。考えてること同じだね。』


一郎くんはキョトンとしてから少し微笑む、腕を広げてこっちに来いという仕草をするもんだから思わず抱きつくと、腰と頭に手を回してくる


「お前のそういうとこ好き。俺らって案外似たもの同士なのかもな。」


そう言って甘い甘い口付けをしてくる




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