溶けそう【山田一郎】

溶けそう２５ ページ26

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月日はあっという間に流れ、私のCDが発売する一週間前になった

もうサンプルは出来ていて、何かとSNSで宣伝したりTVCMが流れたり雑誌の表紙でも取り上げられていた

結構派手に話題になっているらしく、テレビ出演もココ最近は少なくない


メディア的には「現役美人大学生ピアニスト」だそうで
美人ではないのだけれど、普通に嬉しかったりする
ピアニストは私が諦めた道だから、ピアニストと呼ばれる日がくるなんて思いもしなかった


一郎くんは私が出てる番組や雑誌は全て見てるようで感想を欠かさず送ってくれる
一郎くんも25日にCDが発売するから忙しいだろうに、でもそういうところも好き


収録曲としては、名曲クラシックとオリジナルの曲が2曲

業者側が好きな曲を選んでいいということだったので、ベートーヴェンとショパンを主にドビュッシーも入れたりした。オリジナル曲はクラシック調の曲。
実は一郎くんの案も取り入れて作った曲だ。



今日も実はテレビ出演の仕事があるのだけど、これがまた音楽番組で。バスブロもいるんだよね……

追う立場のはずだった私が一郎くんと同じ舞台に立つとか全然実感がわかない


ピロンと携帯がなる


【俺たちもうスタジオ会場着いたから、A楽屋に来てくんねーか？このタイミングでなんだが弟たち紹介する。】



二郎くんと三郎くん……彼らは一郎くんのことが大好きな弟達、極度のブラコンだ。ファンのあいだでも有名だし。
彼らに認められなきゃ私彼女失格だよね！よしっ、頑張ろう






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『し、失礼しまーす……』


バスブロの楽屋のドアを開ける


「だから僕がいち兄の隣に座るんだ！！」

「ちげぇよ！俺だよ！！」

「二郎にいち兄のトークに相槌入れれるのか？いや低脳には無理だね！」

「どう考えても、長男の隣は次男だろ！！」


わんやかんやしてると思ったら、座る位置で揉めてるらしい。一郎くんはリーダーだから司会に1番近い席に座るからね…


「お前らうるせぇよ！Aが引いてるだろ」


『あっ、引いてないです全然。可愛らしくていいじゃないですか。』


このやり取りは結構見てきた、バスブロのオタクだからね…


「お見苦しいところすみません、初めまして山田三郎です。いち兄の彼女さんですか？ご活躍はかねがね、今日はよろしくお願いします。」

す、すごいしっかりしてる…

「や、山田二郎っす。うっす。」

「俺の自慢の弟だ、可愛いだろ？」


はい、やっぱりバスブロしか勝たん



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