参 本丸の現状 (グ ロ注意) ページ4
．
「あ、そうだ。歌仙...さん？ここには、何人の刀剣男士が居るの？」
「歌仙で良い。今は三十振りほど、その大半が重傷を負っている。」
「大半が、重傷...」
「着いたよ。此処が手入部屋だ。
...手入れしたいのなら、そこの襖を開ければ良い。」
彼の声と共に見えた襖。
目を凝らせばそこには幾つか血痕が見える。
本当に開けて良いのか少し迷いながらも襖に手をかけ、開けた。
そこには、
想像以上の悪夢があった。
血塗れた畳
こびり付いた血が赤黒く変色している包帯
鋭い鉄の破片
乱雑に抜かれ、放り投げられている血濡れた矢
割れた刀装
そして、
目から光のなくなった刀剣たち。
本丸の現状は予想以上に酷く、並大抵の者でなければ吐き気を催す物だった。
先程彼が言った通り、殆どの刀剣が重傷。
何振りかは人の形すら保てず、本体に戻っている。
唯一軽傷程度で済んでいる刀剣は
「三日月宗近」「大典太光世」「小夜左文字」
その三振りのみ。
他は全員中傷か重傷。
一見重傷を超え、破壊寸前の者もいる。
直ぐにでも手入れしなければ、本丸が残るかどうかが危うい状況。
「霞！前に教えた方法で手入れできる！？」
「うん！！覚えてるし、出来ると思う。」
「なら、霞は向かって右側の刀剣を。重傷の刀剣を優先して手入れ、お願いね。」
「了解！！」
そう言うと霞は刀剣の手入れを始める。
恐らく大丈夫であろう。
「私も、始めないとね。」
小さく呟き一度深呼吸をすると手入部屋の中へ入る。
予想通り酷い血生臭さ。
一番近くにいた、重傷の刀剣に目が付く。
「貴方は確か...一期一振さん、でしたよね？」
「...えぇ、その通りです。
手入れなら、私より先に弟たちを。」
「ですが、貴方も重傷です。」
「これ位であればまだ耐えられます。」
「...申し訳ありません。」
そう断ってから彼に向かって手をかざす。
かざした手に浮かんだ八重桜の紋。
紋が光るとみるみる内に彼の傷が治っていった。
「...応急処置ですが、手入れしないよりはマシです。
それに、貴方の弟様方は私の
「...そう、でしたか。...申し訳ありません。」
「いえ、お気になさらず。
では、私は他の方の手入れもありますので。」
私は小さく会釈をしその場から離れた。
．
続く
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作者名：イズミ | 作成日時：2022年6月13日 17時
