壱 社会の離れにて ページ2
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嗚呼、何故こんなことになったんだろう。
私が何か悪いことをしたっけ。
親の会社が倒産して、二十で大学中退。
其の後は俗に云う“
上司に押し付けられた仕事も睡眠時間を削ってまで終わらせた。
法を犯したことなんて一切ない。
それなのに。
マフィアに刺されて死ぬなんて。
「いたい」
久々に家へ帰れると浮かれて近道の薄暗い路地裏なんて通らなければよかった。
路地裏なんて通らなければマフィアの何処かの部隊に会うことも、其奴らに刺されることもなかったのに。
...そう云えば、未だ完成していない資料も、出来ていない
死ぬ直前まで仕事のことを考えるとは、もう随分とあの会社に染まってものだ。なんて、場違いなことをぼんやりと考える。
近くにあるはずの大通りを通る人達の声がどんどんと遠のいていた。
もう痛みもない。本能的に死ぬと分かった。
いやだ。こわい。死にたくない。
「たすけて」
そう言っても無駄で。意識はどんどんと暗闇に沈んで行く。
本当、つまらない人生だった。
もう諦めて、意識を手放した
その時。
「おい。大丈夫か。」
男の声がした。
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作者名:イズミ | 作成日時:2022年6月9日 20時