ランシェットは君と一緒に【A3!】 (ページ3)

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ジェーロは花束を抱えた。ページ3

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「ね、ぇ。万里。」
「ﾝだよ、」

「携帯忘れ、」

私の上に覆い被さるそいつに声を掛ける。
前髪がさらりと揺れて、私の頬にかかるから
自らの前髪を止めていた赤いヘアピンで万里の前髪を留める。

そうしたら万里は嬉しそうに微笑んで、唇にキスをひとつ。
それに応えるように私もキスを返す。

付き合うことになってから数週間のとき、なぜか万里がカンパニーに入ることになった。
あの時は心底驚いたものだ。
今はもうそんなこと気にしてられない。

” 犬猿の仲 ”
これを演じるのに手一杯なわけで。

バレたくないという意見の一致から毎晩毎晩喧嘩、するネタもない私たちはこうやって集まってたまに作戦会議をする。

... まぁ、作戦会議という名目でいちゃいちゃするだけなのだが。

「携帯なんて後でいいだろ？」
「ま、ね。」

万里を押しのけてベッドを立つ。
小型冷蔵庫の中に入っていたお気に入りの蜂蜜レモンのど飴を投げつけて、また隣に座る。

肩を抱き寄せられたから大人しく寄り掛かる。

「あ～...、やっぱり好き。」
「あたしもすき」

「世界一好き。」
「じゃあ宇宙一。」

「くくｯ、変なことで張り合うなよバーカ笑」

楽しそうに笑う万里が愛おしくて、太ももに跨って抱き着いた。
私は偶にこうやって好きの気持ちが制御しきれなくなる時がある。

好きで好きで堪らない、この気持ちを制御できる人は本当に凄いと思う。

... 万里はそんな私の愛情を嫌がることなく受け止めて、寧ろ倍で返してくれる。

この前行った海のようにきらきら煌めく万里の瞳が好き、春の枝垂れ桜より目を惹くこの綺麗な髪の毛が好き。
冬の雪原より広大な、万里の心が好き。

「ねぇ、ばんり？す、」

すき。

そう言いかけた時にドアの方からガタンという大きな音がした。
万里の眉がぴくってして、私をベッドに座らせてからドアを開く。

そこには私たちの携帯を手に握って、顔を引き攣らせた幸ちゃんと一成。
きっと善意で持ってきてくれたはずなのにこういう事になって、とても申し訳ない気持ちでいっぱいだ。

まぁ嘘だけど。

「「うｯ、わぁぁぁぁぁ！！！！」」

万里を見た２人の顔は更に引き攣って、その喉からは絶叫が漏れ出たのだった。