いつだって、君と。 ページ12
＊
「…A！」
「やっほ、みすみくん」
犬みたいな笑顔で駆け寄ってくる彼に手を振った。『どーん！』そう言いながら私に抱きついてくるから、それを受け止めて背中に腕を回した。
「おい、三角！って、Aさん？」
「あ、天馬くん。公演お疲れさま、良かったよ」
「ありがとうございます」
「けどちょっとだけ中盤、詰まってた所あったね」
「げ…。何で分かるんだ」
嫌そうな顔を隠そうともしない生意気役者。頬をぎゅっとつねってあげた。男の癖に柔らかくてすべすべのお肌にちょっとだけ嫉妬したりする。
「幸くんたちは？」
「ゆき？しらなーい！俺、A見つけてすぐこっち来たから！」
「あっ、そうだ！みすみくん、私見つけた時笑ったでしょ。劇に集中しないとだめじゃん」
「む〜…。ごめんなさい〜…」
「え、そうなのか？三角」
そうだよ〜、なんて悪びれもなく言うみすみくんに、天馬くんはお怒りの様子。…天馬くん、劇に手抜きは嫌いだからなぁ、って私はみすみくんにハグされたまま考える。
「二人とも、何してるの？…あ、こんばんは…！」
「むく〜！たすけて、てんまが怒る！」
「ちげぇよ！俺はただ…」
「えっなになに！？Aちゃんとすみーラブラブじゃん！いーなぁいーなぁ！」
「うるさいチャラ男」
ひょこり扉から顔を覗かせる椋くんをはじめに、幸くんと一成くんといづみさんがロビーに集まってきた。私はみすみくんを体から離して、いづみさんに頭を下げる。
「公演、とっても良かったです！綴くんにも良い脚本だったって伝えておいてほしいくらい。また次も来ますね！」
「Aさんのおかげでもありますよ。三角くん、Aさんと付き合った＿むぐっ、」
「カントクさん、それは言っちゃだめ！」
必死な形相をする三角くんがいづみさんの口を塞いだ。彼女の言葉を聞いて、ふと公演中に感じた事を思い出した。
「…あ、そういや、なんだかこの公演のストーリー、私たちが付き合った日みたいなんですよね」
「え？そうなの？」
「うん。海の場面とかそっくりだった」
「…なるほど」
納得したように頷く幸くん。当の私は頭の中にはてなをいっぱいにする。
「ちょっとゆき、言っちゃだめだからね！」
「わかってるって」
「…？」
「A、かえろ！余計なこといわれそう！」
「え、うん？」
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作者名：MinT・パンナコッタ・さやえんどう・すずめ・ひなた＊ x他4人 | 作者ホームページ：なし
作成日時：2017年6月1日 18時
