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今日2度目の社会科室。
「黒尾〜〜………って、寝てる?」
1番前の窓際の席。
さっきそこで一緒にふざけてた黒尾は、机に突っ伏して寝ていた。
大きな背中をきらきら照らされながら。
「んも〜ほんとにずるいやつだな……」
黒尾の近くに寄っていってもまるで起きる気配なし。
まだ誰もこの教室に来ない。
「ちょっと、…だけ…」
蚊の鳴くような声でこっそり呟いて、いつもいじってる黒尾の髪の毛をそっと撫でた
「柔らかい」
黒尾のつんつんヘアが柔らかいとは!!
新発見!!
なんて、心の中でふざけてみたけど私の気持ちが落ち着くことはなかった。
太陽に照らされてすやすや寝ている黒尾が、
私よりも身長が30cm以上も大きい黒尾が、
かわいいような、愛おしいような、そんな気持ちで
胸がきゅっとなった。
今は伝えるべきタイミングじゃないと自分で納得したのにな。
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ガラガラガラッ
「わりー!!!購買混んでて!!!遅くなった!!」
「っ、やっくん。…あ、まだ大丈夫!あと10分くらいあるって黒尾が、」
「あ、ほんとだ。まだみんないねーじゃん。
って、黒尾寝てんの?!」
「うん、最近居残り練ずっとしてたしね。疲れてるんだと思う。」
「…だよなー、勉強もあるしな。……よし!顧問に取りに来てって言われてたプリント、俺が行ってきますか!」
「え、大丈夫?起こせば起きると思うけど…」
顧問との連絡は普段部長がやることになってるから、黒尾に任せることが多い。
「黒尾と来てって言ってたけど、プリントだけなら俺も持てると思うし!大丈夫!」
「そっか。わかっ………
あ!やっぱり私も行こう!かな!!もしかしたら量多いのかもだし、たまに顧問に伝言頼まれたりするし!」
「まじ!助かる!じゃあ一緒に行こ〜。」
本当は、今はここから離れたかった。
なんかあいつかわいいんだもん。
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作者名:すうぎ | 作成日時:2020年3月27日 3時