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百八十六話 失格だ ページ27

二人の男性は一体何者なのだろうか。
私が理解出来ないでいると、月狂は突然、一人でに笑い、肩を揺らした。

月狂「………あははははっ。どうやってこの場所を割り当てたんだろうなあ!ははははっ。とんだ芸当だよ。」

野水「……っ巫山戯るなッ!!」

青年男性が、激しい怒声を発した。
肺を絞った声で眉間に深い縦ジワを刻み、歯をガタガタ震わせている。

山崎「……野水………。」

野水「お前のせいで櫻井さんは…………櫻井さんは………………!!!」

血走った目には涙が浮かんでいた。
震える拳を握りしめ、月狂を睨みつけている。
月狂に向けているピストルの銃口は、震えていた。

月狂「あははははっ。何震えてるんだよ!」

月狂がピストルの銃口を青年男性に向けると、月夜さんが叫んだ。

月夜「辞めろ月狂!」

月夜さんが月狂の背後に駆け寄った時…………。



「…………あんたなんか産まなきゃよかった。」

冷たい声に、私も月夜さんの動きも止まってしまった。

野水「………あんたなんか産むんじゃなかった…。」

震える声に載せられた言葉。

月狂「あ?」

野水「……………お前…………母親からそう言われてたんだろ…?」

野水「あんたなんか産まなきゃ良かった!!!!」

青年のピストルを握る手が、より一層震え出した。

山崎「野水っっ!辞めるんだっ!!」

隣にいた中年男性が、青年を止めに入った。

野水「離してくださいよ!俺は今ここでコイツを殺す!!!」

中年男性が抑えるも、青年は激しく抵抗した。

野水「何で!!こいつは死刑に屈すべき悪人だ!!殺してやる!殺してやる!」

この青年から溢れ出る憎しみが、何も知らない私の心を射抜いた。
凄まじい怨みだった。
もはや復讐の鬼と化した人間に、理性など効かないのだろう。

山崎「こいつは俺に任せろ!お前では無理だ!」

野水「嫌です!!俺が必ず殺してやるんです!!この男を!!!」

揉め合っている間に、月狂は二人の男性に銃口を向けた。
それを月夜さんが後ろから押さえ付けた。

月夜「辞めろ月狂。今ここでその人を殺したら、お前は一生後悔する事になる。」

青年を押さえ付けていた中年男性は、やがて動きをとめ、「そうだよ…………。」

と呟いた。

月夜さんと中年男性の視線が絡み合う。

「俺はあの時…お前を……お前達を捨てたんだ……!」


「俺は、お前の、お前達の父親失格だ………………。」

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設定タグ:ヤンデレ , 狂愛 , 名前変換オリジナル   
作品ジャンル:恋愛
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日名無 りん(プロフ) - NZMさん» ありがとうございます!!!!綺麗なんて……!!!光栄です!!! (2019年12月3日 23時) (レス) id: 0a69449343 (このIDを非表示/違反報告)
NZM(プロフ) - 完結おめでとうございます!とても綺麗な作品だなと思いました! (2019年12月2日 23時) (レス) id: 13f970b2f4 (このIDを非表示/違反報告)
日名無 りん(プロフ) - まりもさん» それは本当に良かったです!皆様のお陰様で無事完結を迎えられました! (2019年7月27日 21時) (レス) id: 0a69449343 (このIDを非表示/違反報告)
まりも - ヤンデレ系は苦手なのですが、これは続きが気になるほど面白かったです。完結、おめでとうございます! (2019年7月27日 14時) (レス) id: 6b2aac275b (このIDを非表示/違反報告)
lkwisterven - 日名無 りんさん» マジか衝動でここまで描けるのすごい (2019年7月25日 15時) (レス) id: c9c05fe7f4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:日名無 りん | 作成日時:2019年6月21日 18時

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