八十三話 悪魔の母 ページ38
パリの街には、緑豊かな公園があった。
そこに、二人でベンチに座りながら話す事にした。
シャン・ド・マルス公園から眺めるエッフェル塔は儚く、美しく、時の流れを感じさせた。
そして隣に存在する美しい顔にも目を向けた。
其の美しい顔は、俺が何より恐れている悪魔に、迚も良く似ていた。
だが彼女の目は、感情の読めない冷徹な瞳だった。
膝に置かれた陶器の様に白く、きめ細やかな両手。
その片方の左手の薬指には、陽を受けて輝く指環が嵌められていた。
其れを見た時…嗚呼、この人は、何があっても解り合えない人種だと、反射的に痛感した。
涼真「月狂と云う名は貴方が授けたんですか？」
魅麗「いいえ、兄である月夜です。」
涼真「漢字は、魅力の『魅』では無く、美しいの『美』では無いのですか？」
魅麗「美しいの方は、偽名です。現在の名が本名です。」
彼女は、『美麗』が偽名であるとあっさりと認めた。
膝の上に置かれた拳を握り、今日彼女に逢って一番疑問に感じた質問を投げかけた。
涼真「十年前、当時貴方がお付き合いしていた男性と心中した、貴方だと云われている女性は誰ですか？」
その質問に、魅麗は全く驚きや戸惑いの色を見せなかった。
それどころか、ただ淡々と開口した。
魅麗「双子の姉です。」
魅麗「双子の姉？」
何と、この夫婦は同じ様に死を偽造し、深淵の住人として世に生き長らえていたのだ。
自分と同じように＿＿＿＿＿＿。
涼真「…………貴方の旦那様、済木康太(こうた)さんは生きていますよ。」
魅麗「…………康太さんが生きている、ですって？」
その時初めて、魅麗がこちらに顔を向けた。
長い睫毛に縁取られた瞳が微かに見開かれている。
新事実のニンジンをぶら下げられて、釣られないわけはない。
涼真「はい。彼は貴方と全く同じ方法で、自らの死を捏造し、ルームメイトであった山崎正尚(まさたか)さんを偽り、現在は刑事として活躍しています。」
魅麗「そうですか………。」
彼女の声には、何の感情も籠ってはいなかった。
しかし、遠い東の端に今も尚存命している夫の安否を、少しは気にかけているようにも見える。
涼真「失礼ですが、貴方は
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日名無 りん(プロフ) - シェリーメイさん» シェリーメイさん、いつもありがとうございます^^*緋き妖にも目を通してくれていてとてもとても嬉しい限りです！私も冬は苦手なんですよね笑お守りだなんて…！！私も読者の皆様をお守りに冬も受験も乗り越えます！！ (2019年11月24日 20時) (
レス) id: 0a69449343 (このIDを非表示/違反報告)
シェリーメイ - この小説が無かったら私の冬は地獄… (2019年11月23日 19時) (レス) id: e2657486e4 (このIDを非表示/違反報告)
シェリーメイ - 日名無 りんさん» こんばんは！骨の随までシリーズも黒蝶の夜にシリーズも、緋き妖もすごくすごく最高最高！(〃ω〃)最近インフルエンザが流行ってます。私達読者も、日名無りんさんも、体調に気をつけましょ！私は勝手ながらこの小説をお守りにして、苦手な冬を乗り越えます(^^)/ (2019年11月23日 19時) (レス) id: e2657486e4 (このIDを非表示/違反報告)
日名無 りん(プロフ) - ハルシナさん» こんにちは！初めから見てくれているのですね。嬉しい限りです！いえいえ、天才なんて滅相もないです！笑 うわああ、ありがとうございます！私も読者の皆様が大切なので、体調管理には十分に気をつけてくださいね (2019年11月11日 23時) (レス) id: 0a69449343 (このIDを非表示/違反報告)
ハルシナ - この作品、初めから見てます！作者さん天才だな？いつもドキドキしながら見てますよ！体に気をつけて更新してくださいね？作者さんは、私たちのことを考えて更新してるかもしれないけど、私たち読者は作者さんの体のことを一番に思ってますよ！これからも頑張って！ (2019年11月11日 18時) (レス) id: 91b89ed012 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：日名無 りん | 作成日時：2019年9月3日 0時
