八十一話 悪魔の創りもの ページ36
パリ駅行きのユーロスターは、数時間で目的地へと到着した。
ダウンジャケット越しからでも鋭さを纏った風が入り込む。
それはまるで、俺の行き先を拒んでいるようにも思えた。
それでも俺は行かなくてはならない。
氷琉「はあ、流石に寒いですね。」
パリで、あの有名なアーケード街に有るカフェで一息付きながら、氷琉と行き先の確認を行っている間にも、もしかしたら追い払われるのでは無いか、と云う不安があった。
然しこのまま月夜さんの心に雨雲を置いてしまうのは、嘗て自分を死の危機から救ってくれた彼に対し、相当失礼に値する。
ここから先は一人で行動する事。
質問の内容。
言葉の選び方。
それ等を処理していた事あって、結局目的地に着いたのは、昼過ぎになった頃だった。
目的地は、パリの街にある小さな花屋。
店の前のプランターやバケツには色取りどりの花達が活けられていて、風に靡いていた。
小さな小さな可愛らしいレンガ造りの建物。
涼真「
俺が声を張り上げると、カウンターの奥から黒髪の東洋人が姿を現した。
其の美しすぎる貌を見て、己の背筋が凍り付くのを感じた。
『彼女』は本当に済木月狂や月夜さんにそっくり似ていたのだ。
涼真「日本の方ですか?」
女性はこちらの質問に頷き、柔らかい微笑を浮かべた。
其の表情を『奇麗』や『美しい』以外に何と喩えよう。
………そうだな。
喩えるならば天使でも女神でも無い。
彼女の美しさはまるで『悪魔』の手によって創造されたもののようであった。
其れ程迄に、妖しく、美しい雰囲気を纏っていたのだ。
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日名無 りん(プロフ) - シェリーメイさん» シェリーメイさん、いつもありがとうございます^^*緋き妖にも目を通してくれていてとてもとても嬉しい限りです!私も冬は苦手なんですよね笑お守りだなんて…!!私も読者の皆様をお守りに冬も受験も乗り越えます!! (2019年11月24日 20時) (レス) id: 0a69449343 (このIDを非表示/違反報告)
シェリーメイ - この小説が無かったら私の冬は地獄… (2019年11月23日 19時) (レス) id: e2657486e4 (このIDを非表示/違反報告)
シェリーメイ - 日名無 りんさん» こんばんは!骨の随までシリーズも黒蝶の夜にシリーズも、緋き妖もすごくすごく最高最高!(〃ω〃)最近インフルエンザが流行ってます。私達読者も、日名無りんさんも、体調に気をつけましょ!私は勝手ながらこの小説をお守りにして、苦手な冬を乗り越えます(^^)/ (2019年11月23日 19時) (レス) id: e2657486e4 (このIDを非表示/違反報告)
日名無 りん(プロフ) - ハルシナさん» こんにちは!初めから見てくれているのですね。嬉しい限りです!いえいえ、天才なんて滅相もないです!笑 うわああ、ありがとうございます!私も読者の皆様が大切なので、体調管理には十分に気をつけてくださいね (2019年11月11日 23時) (レス) id: 0a69449343 (このIDを非表示/違反報告)
ハルシナ - この作品、初めから見てます!作者さん天才だな?いつもドキドキしながら見てますよ!体に気をつけて更新してくださいね?作者さんは、私たちのことを考えて更新してるかもしれないけど、私たち読者は作者さんの体のことを一番に思ってますよ!これからも頑張って! (2019年11月11日 18時) (レス) id: 91b89ed012 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:日名無 りん | 作成日時:2019年9月3日 0時