紅い華と聖夜 (ページ6)

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Ⅵ.ein nettes Kind, kein schlechtes Kind. ページ6

side月狂

クリスマスに良い思い出などあっただろうか。
確かに、祖父は12月24日は毎年、いつにも増して豪華な御膳をテーブルに並べた。
部屋に飾り付けされた大きな樅の木だって、プレゼントにくれた高級ブランドのマフラーだって、祖父は用意してくれた。

だけど、クリスマスなんて俺にとっては『いつにも増して暴力を振るわれる日』でしか無かった。

毎年この季節になると、サンタがやって来ると、幼い頃の自分は信じきっていた。

『良い子にしてたら、サンタさん来るかな。』

淡い期待を胸に、授業で工作した松毬のクリスマスツリーと、小さな靴下を枕元に置いて眠った。

サンタが来ると信じて。

だけどその暁には、信じていた希望は喪われた。

『サンタさん…来なかった……。』

どうして？どうして来なかった？悪い子だから？良い子にしてなかったから？誰が？僕？

僕が悪い子だから？

それからはただただ泣きじゃくった。
頑張ったのに…。良い子にしようとしてたのに…

『なんで！！なんで！』

なんで

泣き喚く俺に…母親は何をしたんだっけ。

嗚呼…………そうだ。

『うるっさいこのガキ！！』

脚を、折られたんだ。

凄く凄く痛くて、痛くて、俺は更に泣いたんだ。
耐え難い激痛に、顏を歪ませたんだ。

『痛い！！！痛いよ！！！！痛い！！！お母さん！！！！』

痛いよ

其の時、俺は思ったんだあ。

やっぱり俺は、『駄目な子』だ、って…。

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