三翅目 ページ4
私が一方、後ずさったにも関わらず目の前の相手は大きな瞳を瞬かせ、きょとんとした表情を作っている。
極夜「近い?そうかなあ?」
A「ちっ…ちっ、近いですよ。」
近い、と言ったにも関わらず先程の童話の王子様みたいな甘い笑みとは打って変わって、艶笑を湛える其の相手。
極夜「へえー、男慣れしてないんだー。可愛いねえ。」
別人の様に、妖艶に口許に弧を描いた蝶舞…さんは私の頬に手を添えた。
頬が熱を帯び、心拍数が上がるのが痛い程判った。
その時、左横から柔らかい声が耳元を掠めた。
白夜「おいおい、極夜〜。何口女の子説いてんだよ〜。」
そんな雰囲気を割いたのは、彼の双子の兄である、蝶舞白夜さんだった。
極夜「口説いてる?僕は挨拶をしていただけだよ。」
白夜「極夜がごめんね〜。えっと君は…冷泉さんって言うんだよね?」
彼は唇を尖らせる弟を無視して、糖度の高い笑みを浮かべて私に話しかけてきた。
A「…あっ、はい。」
白夜「席が隣だから、宜しくね。解らない事があったら、聞いちゃってもいいかな?」
A「全然良いですよ!あ、あと私の事はAって呼んで大丈夫ですよ!」
彼の礼儀の良さに、自然と頬が緩む。
白夜「そっか、ありがとう。じゃあ僕の事は白夜って呼んで。改めて宜しくね、Aちゃん。」
にっこりと冷たい冬の朝に陽が差すかのような暖かい笑みを浮かべた相手に、私も笑顔になる。
A「うん。宜しくね、白夜君。」
極夜「ちょっとー。二人だけで盛り上がらないでよー。Aちゃん、僕の事も名前で呼んでっ!」
右から聞こえる声の主は態とらしく頬を膨らませ、拗ねているようであった。
A「う、うん…!宜しくね、極夜君。」
極夜「うん、宜しくー。Aちゃんっ!」
しかし直ぐににっこりと笑う彼の心が、私には読めなかった。
白夜「極夜。」
反対側からは、地を這うような低い声がする。
白夜「………抜け駆けすんなよ?」
白夜君は、氷の様に冷たい目を、極夜君に向けていた。
しかしそれに怯む事無く極夜君は口角を吊り上げた。
極夜「解ってるって。」
極夜「お前もな。」
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日名無 りん(プロフ) - エマさん» ありがとうございます! (2021年4月4日 17時) (レス) id: 8514583a8f (このIDを非表示/違反報告)
エマ - こういうの大好きです! (2021年2月28日 5時) (レス) id: 205577b43f (このIDを非表示/違反報告)
愛心(プロフ) - 楽しみにして待ってます! (2020年12月17日 6時) (レス) id: 432e288fa3 (このIDを非表示/違反報告)
日名無 りん(プロフ) - 愛心さん» ありがとうございます!久しぶりの更新ですみません汗 これからたくさん更新していきます〜´`* (2020年12月16日 22時) (レス) id: d4aa1eca92 (このIDを非表示/違反報告)
愛心(プロフ) - 日名無 りんさん» 更新ありがとうございます! 訳あってIDが違うのですが 同じです (2020年12月16日 16時) (レス) id: 432e288fa3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:日名無 りん | 作成日時:2019年10月5日 22時