黒蝶の夜に 第二部 【ヤンデレ義理兄】

二翅目 ページ3

転校生の蝶舞(かれん)財閥の人が双子だったという事を、私は正に今知ったのだ。

「蝶舞 白夜と…」

「蝶舞 極夜だよ！」

教卓の前に立つ二人は、人形なのでは無いかと疑ってしまうほどの美しさをもつ人達だった。

余りに端麗なその容姿に、女子は疎か男子すらをもざわついていた。
美しさは男も女もひれ伏すのだ。

「席はそうね…冷泉さんの両隣が丁度空いてるから。」

にこりと笑みを浮かべる先生だが、女子達の鋭い視線を、私は厭でも感じていた。

白夜「宜しくねー。」

にこりと笑みを浮かべるその顔に、鼓動が高鳴らない女の子はまず居ないだろう。

極夜「うわあ、これまた綺麗な子だね。君は名前何て言うの？」

A「れ…冷泉Aといいます……。」

こんなに綺麗な人と近距離で話すのは、お兄ちゃん以外で初めてだ。
お互いの肩が触れてしまいそうな程の距離では、相手の息遣いさえも細かく確認出来る。

ふわりと香る、ジャスミンの香り。

極夜「………………へえ、Aちゃん…ね。」

A「あ、あの…。」

極夜「ん？」

マッチ一方は乗りそうな長い睫毛に縁取られたグレイがかった瞳に、思わず溜め息が出そうになる。

A「近く…ないですか？」

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