四十羽目 ページ41
涼翔を見送った後、私も家を出ようと準備を始めていたその時だった。
「おはよう、A。」
聞き慣れたテノール声が、私の耳に届いた。
後ろから私の身体に絡み付く腕。
仄かなスズランの香り。
A「お兄ちゃん、おはよう。」
狂夜お兄ちゃんだった。
後ろを向けば、私の大好きな優しい笑みを湛えたいつものお兄ちゃんが、そこにはいた。
良かった…。
何時ものお兄ちゃんだ…。
心の底から安心すると、お兄ちゃんの体温を、暫くは感じていた。
狂夜「もう行くの?」
玄関先まで私を見送ってくれたお兄ちゃんが寂しそうに声を曇らせる。
A「うん。」
狂夜「そうか、行ってらっしゃい。」
唇を三日月の形にしながら、マリア様のように慈悲に満ち溢れた笑みを浮かべる。
A「行ってきます、お兄ちゃん!」
ドアノブに手を伸ばしかけた私の腕が、止まった。
A「そうだ!今日私のクラスに転校生が来るらしいんだ!」
狂夜「転校生…?」
A「うん!凄い人達何だって!」
狂夜「…へえ、そうなんだ。」
笑みを絶やさずに、「お友達になれるといいね」と言うお兄ちゃんは、やっぱり何時もの優しいお兄ちゃんだった。
A「行ってきます!」
私は今度こそ、玄関を出た。
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日名無 りん(プロフ) - まくすうぇるさん» 美形家族の女の子…良いですよね……!もうバリバリ守っちゃってください!笑 (2019年12月28日 0時) (レス) id: 0a69449343 (このIDを非表示/違反報告)
まくすうぇる(プロフ) - 日名無 りんさん» そんな美形家族に女の子がいたらぜひともお近づきになりたい(心が綺麗なら)。でもって近づく男を牽制したい・・・! (2019年12月26日 3時) (レス) id: 34699431ad (このIDを非表示/違反報告)
日名無 りん(プロフ) - まくすうぇるさん» 羨ましいですよね美形家族…! (2019年12月26日 0時) (レス) id: 0a69449343 (このIDを非表示/違反報告)
まくすうぇる(プロフ) - 美形家族っすね (2019年12月25日 1時) (レス) id: 34699431ad (このIDを非表示/違反報告)
日名無 りん(プロフ) - シェリーメイさん» ありがとうございます!!!今後ともよろしくお願いします! (2019年10月4日 19時) (レス) id: 0a69449343 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:日名無 りん | 作成日時:2018年12月31日 11時