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四十一話 起きてみれば ページ43

涼真視点



目が覚めると真っ先に見えたのは、白い天井だった。
白い箱のような病室のベッドに俺は横になっていた。


数時間前のおぞましい記憶は嫌な程脳裏に焼き付いている。

確か俺は……


すると足にズキっとでは済まない痛みが襲い掛かる。

見たくはない…筈だ、が

俺は恐る恐る白い布団をめくる。


ゆっくり、ゆっくりとカタツムリの速さで


ドクン、ドクン


周囲に丸聞こえではないかと思う程鼓動の音は大きい。



ついに布団を全て捲り、右足を見た俺は死にたいと思った。




包帯を巻いた右足は、グニャリと有り得ない方向に曲がっている。



人間にとって、見慣れた身体の一部を失う事は紛れもない、“最恐”の筈だ。


真っ直ぐで元気な足が、折れ曲がった枝のようだ。


歯がガチガチとなる。

あの男の異常さが、痛い程解る。





麻薬でもやっていなければ、あんな残酷な事、出来るはずがない。



「涼真」

と声がした。
声がした方向へ振り返ると、震えた母と恐ろしいものを見たような目をした姉がいた。



母は震えながら口に手を当てている。




姉「あんた……それ………どうしたのよ………」


涼真「…………」


俺は白い布団を両手でグッ…と握った。




俺は全てを、話した。
話の端から端まで、ムラなく話した。


俺が話終えると姉が口を開いた。



姉「………済木の所に行ったの?……彼奴はそこまで狂ったやつじゃなかったのに………」



涼真「………いいや、彼奴は人の仮面を被った悪魔だ!…………あんな奴……ほっといていいわけない!」




窓から見えるトルコ石のように青かった空に、寒々しいグレーの雲が、太陽を隠し始めた。

四十二話 その温もりに→←四十話 必要とされなかった



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すいぽて(プロフ) - コメント失礼します!いつも楽しく読ませていただいてます!!質問なのですが、月狂の読み方を教えてほしいです!!! (2021年12月5日 2時) (レス) id: fa53211097 (このIDを非表示/違反報告)
リゼ@純粋少女(プロフ) - なんかもう骨髄好きすぎて今もう4周目ですww (2020年6月13日 20時) (レス) id: 411bfd759c (このIDを非表示/違反報告)
lkwisterven - 日名無 りんさん» なるほど。ダサくないよ!?皆既月食見たことないかも。(引きこもり) (2019年8月8日 11時) (レス) id: c9c05fe7f4 (このIDを非表示/違反報告)
日名無 りん(プロフ) - lkwistervenさん» シリーズ5の「新キャラについて」でも紹介しましたが【つくる】って読みますwダサいですねww名前の由来は彼の生まれた日が皆既月食の日で赤い月の日だったから、赤い月からどことなく感じる狂気からとってます笑 (2019年8月6日 17時) (レス) id: 0a69449343 (このIDを非表示/違反報告)
lkwisterven - ここでしか言えないが、月狂ってなんて読むの?いつもげっきょうって読んでるwwwwww (2019年8月6日 15時) (レス) id: c9c05fe7f4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:日名無 りん | 作成日時:2018年12月2日 14時

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