明日天気になぁれ 【神威】

肆 ページ6

いきなり回された腕

その逞しさにドキドキする…


『…じゃなくて！』


何言ってるんだこの人は！


神威「俺神威、おまえ名前は？」

『あ………時雨』

神威「時雨ね」



偽名である時雨と言う名を口にする神威


やっぱり覚えてないんだ…



ほんとは


「迎えに来たよ、A」


なんて、言って欲しかった



神威「あり、どうしたの？嫌なの？」

不思議そうな顔で覗き込んできた


その整った顔に胸が高鳴るものの



『嫌ですよ！』


私のことを覚えてくれていない

今の神威の笑顔に昔のような優しさはない


神威「えー…どうしてさー？」


にこにこ笑ってる

でもどこか冷たい


『だいたい！どうして私なんですか！』

神威「んー……強そうだから」

『…え』



強そうだから…？

私のことを覚えてないのなら

私が夜兎だとも知らないはず



『なぜ…私が強いと？』


いつも客に接するようにあくまでも気丈に、冷淡に


神威「はは、そーゆうとこだヨ」


クイッと顎を持ち上げられる


『ｯ…』

強制的に合わされた目は蒼くて吸い込まれそう


神威「そんなに気丈で冷淡で…」


『ｯ…なにを…』



口元は笑ってる

でも目は全く笑ってなんかない

冷たくて

怖くて


神威「そうそうその顔、俺さ、海賊王になりたいんだよね」


『え？』


ぶっ飛んだことを口に出し始めた神威



神威「俺より強いやつなんてこの世にいらない…でも、俺の子どもは俺に似た強い子じゃなきゃ」

『…つまり？』

神威「俺の子ども産んでヨ♡」



『は…はあぁぁぁぁぁぁぁぁあ？！』

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