初めて付き合った日 #2 ページ2
初めて彼と出会ったのは、桜が舞い散る、新学期。
白い髪の背が高い子__伊佐和良くん__と話しているのを見かけたのが最初だった。
満面の笑顔で「秀ちゃん、秀ちゃん!」と呼びかける彼を横目に、
゛釣り゛の文字が書かれた本を読み、軽くあしらう。
仲が悪いのか?そう思っていたのも束の間、伊佐くんの話にたまに頬を緩める彼を見て、
顔が熱く、心臓の音がウザいほどに聞こえたことを覚えている。
「終わったか?」
『んゎ。...うん。終わったよ。』
「...送る。女子が一人で歩くのは危ないからな。」
確かに、もう日が沈みかけている。
私は彼の言葉に甘えさせてもらい、送ってもらうことにした。
電車に乗って、10分ほど、私の家が見えてきた。
『送ってくれてありがとう。また今度、お礼させて。』
「別に構わない。伊佐に今度送ってやれと言われただけだ。」
『そうなんだ、じゃあ、また明日。雛乃くんも気をつけて帰ってね。」
私が玄関に向かおうと、一歩足を進めたその瞬間、彼に手を掴まれた。
『どうしたの?』
「......すまない。さっきのは言い訳だ。俺が、お前と帰りたくて。」
『え?』
「好きな奴を、放って帰るほど、俺は冷たい男ではないという事だ。」
『...それって、脈アリってことでいいですか?』
「脈ありもなにも、俺がお前に好きだと言えばいいだけの話だろう。」
『...大好きなんですけど。』
「知っている。」
そう言って笑う彼を、少しだけ恨んだのは内緒だ。
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作者名:しらす。 | 作成日時:2024年1月7日 18時