1杯の珈琲【wrwrd】 (ページ8)

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8話ページ8

「た、た、た、倒す、倒すからな！？」

僕が教えたあとの彼女のゲーム実況。
編集が少し変わった。
興奮すると言葉が吃る癖があるらしい。

ちら、とみて再生回数も普段より少し多いなと思う。普段のものはすごい勢いで見たのでなんとなく覚えているが。

彼女からも大先生のおかげです！とのこと。

・

今日は、新しく実況を撮るためのゲームを決めていた。その第一候補は、マリオカートだった。

「なぁ、あの、世界征服のやつって運転自分でやるん？」
「ん？ああ、運転してくれるで。」
「他人の運転って怖ない？」
「そんなことないと思うけどなぁ。」

なんとなく、昨日のことを思い出す。

「大先生、急にがばったで？」

にやっと笑いながら甲羅を投げて1位に躍り出たゾム。

なんであんな思い話したんや、とも言いたくなるが自分だけと思うと何かあるのかと疑う。

「ゾムって事故とかあったこと、あるん？」
「あるでーー」
「妹おったりする？」
「おることはおるけど...。」

まさかやろ、まさかやろ？？
おることはおるとかなんやねん。
そこでふと思う。そう言えばグルちゃんもAさんのことガン見してたよな？

もしかして、僕に教えてくれたのはAさんは覚えておらんけど僕、会ったことあるんちゃうか？

我々だの誰かに兄弟がおるんか？？

「ゾム、実況やめてちょっと行きたいとこあるんやけど。」
「え？急になしたん？」
「暇な人みんな連れてくで。」

暇な人僕の家来てと連絡を入れ、集まったのはたった2人だった。
コネシマ、シャオちゃん。そしてゾム。

ここは誰にも教えないと決めて結局グルちゃん連れてきて、今度は一気に３人も連れてきてしまった。

そしてこの3人にも編集のことを食いつくかもと考えると気は重くなるばかりだが、この中に兄弟がいて僕のことを大好きぃとか言ってくれる未来もあるはずや。

カランと扉を開ければ音が鳴る。

「いらっ...」
「え。」

彼女がいらっしゃいませと言い終える前に、言葉を遮ったのは、ゾムだった。