1話 ページ1
グル氏は生きている女に興味はないと、いつだか言っていた気がする。
つまり、それはそういう事だ。
彼の中では彼女はもう生きていないという判断が下っているのだ。彼女が倒れて、彼女の部屋に皆で訪問したとき。
彼女の机の上にはその手紙が書いている途中で終わっていた。
それを見て静かに涙が流していたのを見た。
彼は諦めなかった。
「昏睡状態だろ、まだどうなるかわからん。」
そう言って病室に向かい、毎日毎日話しかけていた。
とある日。歴史をこよなく愛していた彼女に、自分たちの動画を見せたらしい。今まで反応がなかった彼女だったが、その時ばかりは微かに指が動いたという。
グル氏は動画を上げ続け、見せ続けた。
正確には、聞かせ続けた。
いつだか、
「笑わんアイツは死んでるのと同じだ。」
そう言っていた。しかし諦めないグル氏は、きっと彼女を生き返らせるつもりなのだろう。
拝啓、親愛なる総統へ。
ううん、本当は最愛の総統へ。
急になんだと言われれば、返す言葉もないけれど。
こういうものって雰囲気が大切でしょう?
いつも言葉で飽きられては困るので手紙にしてみようと思います。
好きです、総統。愛しています。
ここまで書かれた手紙には、まだ敬具が書かれていなかった。
ここで力尽きたのか、はたまた次の日に回したのか。
お医者さんによると、恐らく貧血で倒れた際に頭を机に強打した、とのこと。
いつ目覚めるのか、果たして目覚めるのかも分からない彼女に、グル氏は力を注ぐ。
早く目覚めるようにと。
目が覚めた時あんまり老けてたらコイツ騒ぎ立てるぞと。
そんなことを考えていたら、思い出していたら。
「トン氏、ここで編集するのもありじゃないか。カットしてる所もコイツなら見せてええやろ。」
そうグル氏は切り出した。
「せやなぁ、せやけど、こんなど下ネタ出てくるかもしれへんの聞かせんのもどうかと思うんやけど。」
「コイツならええやろ。」
生きてたって嫌がるどころか吹き出すぞ、コイツ。
それはよく知っているのだが。
まあ、本人がええならええか。
今度はノートパソコンでも買ってくるんやろうなぁとまた出費の予定がたった。
「早く起こしてこいつも我々に組み込むぞ。」
意気揚々に語るそれは、実現するのだろうか。
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柊花(プロフ) - 柊真さん» 勿体ないお言葉です、有り難うございます!期待に応えられるよう、全力で書いていきますね! (2017年9月2日 22時) (レス) id: 942a3aeb4f (このIDを非表示/違反報告)
柊真 - お話の雰囲気がとても魅力的で凄い尊敬します。更新楽しみに待ってます (2017年9月1日 20時) (レス) id: a9d5b4da57 (このIDを非表示/違反報告)
柊花(プロフ) - 狂魔さん» ありがとうございます!!更新頑張りますよー!! (2017年8月16日 8時) (レス) id: 942a3aeb4f (このIDを非表示/違反報告)
狂魔(プロフ) - とっても面白いです!お話の内容が好み過ぎて……!更新待ってます!頑張ってください! (2017年8月15日 22時) (レス) id: 644d6fc42d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柊花 | 作成日時:2017年8月15日 11時