罰ゲーム (ページ49)

今日:1 hit、昨日:5 hit、合計:16,399 hit

青side ページ49

「「あっ」」

帰り道、ギターを手に持ち歩いていると大倉とバッタリ出会った。
2人とも同時に声が出て、俺は思わず立ち止まった。

「体調大丈夫そう？」

「あぁ……おん…………」

「なら良かった！丸も居たし、安心はしてたけど、やっぱりなんかあったら心配やし「ヤスは、丸ちゃんと亮ちゃんがあの日、会うこと知ってたん？」

ーーﾄﾞｷｯ

大倉の瞳には光がなく、スタジオに入ってた時に向けられた目と同じだった。

「お、大倉……あの「敢えて夕方までとかにしたん？俺が丸ちゃんのこと誘うこと見越して」そ、そんなわけ！」

大倉との付き合いは長い。
もう殆ど幼馴染みたいなもんや。
やからこそ、大倉にとって俺の嘘はアホらしいもの。

「嘘ついてんのバレバレやから」

やけど、俺はこの嘘を突き通すしかない。
そうじゃないと、一気に3人も不幸にしてしまうかもしれん。
今止められるんは、俺しか居らんから。

「嘘ちゃうよ！ホンマに丸から『夕方までなら』って最初から言われてたんよ！その後の予定なんか俺知らんし、亮と会ったんかどうかも知らん！」

勢いの強い俺に大倉は少し驚いたのか、声を詰まらせていた。
負けたらアカン、引いたらアカン、俺はここで頑張るしかない。

「大倉、なんでそんなに丸と亮のこと気にしてんの？俺にはわからんってあの時言ってたけど……」

「………ヤスは、何も知らんやん」

「知らんよ。やって、誰も何も言ってくれへんやん。俺らは人間やもん。テレパシーも使えへんし、超音波も出せへんねん。やから言わないとわからんもんはわからんねん」

大倉と丸と亮、それから俺らの為にも。
苦手なこともしていかないとあかん。
たとえ、親友のことを傷つけてしまうとしても。

「丸と亮のふたりにしかわからん事もある。大倉がそこに介入しても部外者なだけやねんで？見守ることが俺らがしないとあかん事じゃないん？」

ごめん、大倉。
言ってて俺が一番泣きそうやわ。
大倉の悲しそうな顔を見るのは胸が痛くて仕方ない。

「………じゃあ、ヤスはなんでそんな俺のこと気にしてんの」

「えっ……？」

悲しそうな顔をしたまま、大倉は俺を見つめる。

「俺が丸ちゃんを気にしてるのと、ヤスが俺を気にしてるので何が違うん？」

「そ、それは「この問題は俺の話であって、ヤスには関係ない。ヤスこそ部外者やんか」

ーーｽﾞｷｯ

大倉は何も言わず俺の前を通り過ぎた。
俺は、ﾎﾟﾛﾘと零れた涙を拭えんかった。