罰ゲーム (ページ43)

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黒side ページ43

「安、今日ギターの練習付き合って欲しいねんけど」

仕事が終わって、何となく時間が空いたから安を誘ってライブに向けての練習をすることにした。
安は二つ返事で「ええよ」と言ってくれた。
ホンマに安には色々世話になってるわ。

今、俺らの様子を一番見てくれてるのも安なんやろうし。

俺と安はスタジオに入って只管練習をした。
安に指導してもらったり、一緒にセッションしたり、時には一人で弾いてみたり。
その時間はあっという間に過ぎ去る。
流石に2時間も弾きっぱなしにしてると、慣れない指は痛んでくる。

「横ちょ、1回休憩しよ」

「…………おん」

「でも、ホンマに上手になったよな！さすがおにぃやわぁ」

安の嘘偽りのない言葉と表情にホッとして息を吐く。
俺がここで完成していかないと、俺らのライブは成功できやん。

だから、俺は早く上達しないとアカンねんから、早く、もっと

「横ちょ、急がんでええんよ」

「えっ」

「渋やんと亮の穴埋めなんかじゃないねんから。横ちょには横ちょらしくギター弾いてほしい、楽しんで欲しい」

「安…………」

「…………みんな、最近情緒不安定過ぎるんよ」

安の言う“みんな”って俺らのことやんな。
そんなこと聞ける訳もなく、俺は黙り込んでいた。
安は苦笑いしながら「ヒナちゃんと何で喧嘩したん」と単刀直入に聞いてきた。

聞き方がすばるソックリやねん。
そんなところまで似んなや。
やすばコンビは永遠不滅なんか。

「…………別に、喧嘩なんかしてないで」

「横ちょ」

「…………ほんまに、喧嘩はしてないねん。ただ、俺が……拗ねとるだけや」

「ちぐはぐやんか」

「はっ？」

「ヒナちゃんは自分が悪いって言うとったで？」

「…………いや、彼奴は悪ないやろ」

安はう〜ん、と考え始めてからまた苦笑いした。

「不器用やねんな、2人とも」

『不器用やねん、お前はヒナに対して』

やから、そんなところまで似んなや。

「…………ヒナが、倒れたやろ？先週」

「あぁ、寝不足のやつやんな？」

「そう。ほんで……その話聞いてから俺、めっちゃヒナに腹たって、無理矢理家連れ帰ったんよ」

「…………まさか、横ちょ無理矢理ヒナちゃんを抱い「なんでそんな風になるねん！！！/////」あ、ちゃうのね。安心したわ」

すばるよりぶっ飛んだ脳過ぎるやろ！？
安は気にしてないようにその先を瞳だけで促してくる。
俺はため息を吐き、そのまますばるに話した内容を安にも伝えた。