罰ゲーム (ページ44)

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「横ちょ、それはないものねだりじゃない？」

「お前までそれ言うんか…………」

「？……とりあえず、ヒナちゃんにその思い伝えへんと変わらんと思うんよ。いくら20年以上一緒に居る人とは言え、言わないと伝わらんこともあるんよ」

「……だから、それが出来たら苦労せんのよ」

すばるも安も、なんで簡単に言うんやろう。
それが出来てたら俺は多分こんなに頭悩ましてないし、ヒナとの関係も良好やと思う。
いや、別に今も悪くもないねんけど。

「2人ともいい年齢やねんから、早く捕まえんと逃げられるよ？」

「捕まえるって、どんな話やねん」

「やから、早く告白したらええのにってこと」

「告白って、誰が誰にの話やねん」

「横ちょがヒナちゃんに」

安の言葉が理解できない。
ホンマに日本語話してる？
え、なんの話し？
いや、え、はっ？
急にほんま、え？何の話なん？

「横ちょはヒナちゃんが好きやから、無理もして欲しくないし、元気でいて欲しいんやろ？そんで、しんどい時は一番に自分を頼って欲しいから、ヒナちゃんの言葉に腹立ったんやろ。ないものねだりしてまうんも、今よりも近づきたいから」

違う？と聞かれると何も言えんかった。
図星でしかなくて、心当たりしかなくて。

いや、でも、待てよ。
なんで俺がヒナのこと？
そんなわけないやん。
やってヒナやで？あのヒナのこと？
俺が？この俺が？

「ヒナちゃん、言うてたよ。横ちょに迷惑かけたくないって。もちろん、横ちょがヒナちゃんのこと迷惑なんて思ってないこと俺らはわかってる。けど、本人がわかってないねんもん」

「…………一度、持ち帰らせてください」

「えっ？なにを？」

「ちょ、今頭、パニックやわ……」

安はホンマに頭を抱える俺を見て優しく笑った。

「練習再会しようか」

安の笑顔の真相はわからんけど、なんか良かったみたい。
俺は返事もせんとギターを手に持ち無心に弾き始めた。

いや、やっぱり集中出来んて。
俺、だってそんなん考えたことないし、そんなん有り得へんし。

俺が、ヒナのこと、好きなんて。

「横ちょ、コードさっきよりも間違ってんで」

「…………持ち帰りも出来やんかもしれん」

「んふふ、変な横ちょ」

わかりきってる答えを受け入れる心さえあれば、解決する話やのに。
俺は多分、人一倍時間をかけてしまうんやと思う。