罰ゲーム (ページ22)

今日:2 hit、昨日:8 hit、合計:16,516 hit

緑side ページ22

昨日の丸ちゃんの涙が忘れられんくて、俺は今日も一緒にスタジオに入ることを約束してた。
今日は途中からヤスも合流してくれる予定や。

俺はちょっと早めに入って1人で練習しようと思っててんけど、先客が居た。

「あれ、横山くん」

「おぉ、大倉やん」

「練習してたん？」

「ちょっとだけな。この後また仕事あるから、空き時間にやりたくて」

「そうなんか。俺居らん方がいい？」

「いや、全然居ってくれてええよ。むしろ音聞いて欲しいし」

そう言って横山くんはギターを弾き始める。
その音はヤスや亮ちゃん、すばるくんに比べたらまだ抜けてしまうところもあった。
それでも、俺は素敵な音やなって純粋に思った。

音が減ってしまった俺らの為に、この歳から練習を始めてくれて、誰よりも不安なはずやのに前を向いて頑張ってくれて。
そんな横山くんやから、俺らはその背中を追い続けるんやろうな。

「………横山くん」

「ん？」

「俺、やっぱりこの5人で頑張りたい。絶対ライブ成功させたいわ」

「そりゃそうやろ。俺もおんなじ気持ちやから」

俺はその言葉を聞いた瞬間、ホッとしたと同時に決心したことがあった。

やっぱり、ちゃんと丸ちゃんと話しよ。
例え今でも亮ちゃんと会ってたとしても、関係性が戻ってたとしても、否定するつもりは無い。
ただ、あの時のような丸ちゃんは見たくないだけやから。

そう思って俺もドラムの練習をしようと思ったら、スタジオの扉が開いた。

「あれ？裕ちんも練習してんの？」

「おぉ、丸か。おはよう」

「おっはよ〜！」

そこに居た丸ちゃんは昨日と何も変わらない姿やった。
言葉の通り、ホンマに変わらん姿で。

「丸ちゃん、なんで昨日と同じ服装なん？」

「ちょっとあの後飲みすぎてもうて、朝起きたらこんな時間やったから急いで来てん！！」

嘘や、嘘ついてる。
丸ちゃんがそんなんで同じ服装で来るわけない。
お風呂に入ったような雰囲気はあるし、ホンマに服装だけが同じなだけやし。

「お前、オフやからって飲みすぎんなや。二日酔いで体調壊すぞ」

「んふふ、裕ちん優しい〜！♡」

「ちょ、朝からはええわ」

ﾁﾗｯと見えた丸ちゃんの首筋にある“印”に俺は目が離せんかった。