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「………ヨコ」
「ん？」
「今でも、亮のことは………受け止められへんか？」
「……………何の話やねん」
ヒナの急な問いに俺はそっぽ向く。
別にどっくんが独立して、今頑張ってることを否定するつもりは無い。
むしろ、応援してる。
ただ、あの時頑張って前を向こうとしてた俺たちの気持ちを折られた気がして、素直に言葉に出来ひんだけ。
それに、
「丸も、もう大丈夫やねんから」
「そんなん彼奴は気遣いやねんから、嘘ついてるかもやんけ」
「………確かにな」
どっくんが去ってからの2年間、丸は不安定やった。
テレビや舞台、ライブではいつも通りの丸で居れた。
やけどプライベートに変われば、酷いものやった。
丸にはずっとすばるが居て、どっくんが居たから。
2つを失った丸がどうなるかなんか、わかってたやんか。
どっくんはそれをわかってて、去ったんやろ？
そう思うと余計に腹が立ってしまう。
丸だけやない。
ヒナだって………
「やけど、丸にはもう俺らが居る。すばると亮みたいな支えにはなれへんかもやけど、これからずっと一緒に頑張っていくねんから」
「………お前はだいぶ丸の支えになってるやろ。大倉やって、安やってそうや。俺が一番、何も変わってないんやから」
「そんなことないやろ」
「………すばるを止めれんかったは、俺のせいでもあるし」
「ヨコ」
ヒナはこの話を嫌う。
絶対に怒る。
普段は昭和の嫁みたいに一歩引いて俺を持ち上げるのに。
「そんなん言わんといてくれよ。すばるはすばるの意思があって、それを貫こうとしてるだけや。あんたじゃなくても、誰であっても止められんかった。やから、ヨコは何も悪くないねん」
「………なんやそれ」
「やし、ヨコはちゃんと支えになってるで」
「なんのやねん」
ヒナは満面の笑みで口を開く。
「俺の」
昔から変わらん笑顔。
何回も見てきたはずの笑顔やのに。
俺は耳まで真っ赤にして、聞こえてへんフリしてギターの練習を再開させた。
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作者名：ひなまる | 作成日時：2022年6月27日 17時
