山猫と山猫［尾形百之助］弍 (ページ47)

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九十話ページ47

白「お腹すいたね」

尾「・・・。」

『白石さん、前から気になっていたのだけれど。』

白石の気まずさを感じ取ったAは以前から気になっていたことを白石に聞いてみることにした。

アシリパと杉元は狩りへでかけている

白「なになに！なんでもきいちゃって！」

『いや、なぜあなたが脱獄王と呼ばれているのかが気になって。』

白「ふっふっふ…聞かせてあげよう、俺の武勇伝を…。」

これには尾形も興味があったのかすこし顔を持ち上げた。

白石はもともと、熊岸とおなじ樺戸監獄へいた。

しかし熊岸のかいたシスター宮沢という女性の絵を見て恋をしたのだ。

白「おれぁ、恋をしたから脱獄することにしたのさ…。

　それからおれは転々と脱獄を続けて________。」

白石の脱獄劇はきっと一般の人から見たら汚いであろう。しかしAはなぜかすこし目を輝かせていた。

白石が話し終わると彼女はすこし興奮気味でこういう

『白石さんの脱獄のエネルギーが愛だなんて、
とても美しいです！

私ちょっとあなたのこと見直した。』

白「そんなぁ、美しいだなんて言われたの初めてだよ俺…おれ、脱獄してよかった…‼」

『シスター宮沢はうれしかったと思うよ。』

白「そう思う～？」

こうして白石とAは仲良くなった。
当然白石は調子になったらしい。

そこへ杉元とアシリパが戻る。

丹頂鶴が取れたらしい

白「江戸時代は関東の方にも飛んでたらしいな。

　将軍様もよくこうやって鶴の汁を食べてたって…。」

杉「だいぶ減ったみたいで、もう関東じゃ見たことないぜ。」

皆で一斉に食べるも味はイマイチであった。

Aは好き嫌いがわからない方であったがこの日彼女の嫌いなものリストに丹頂鶴と書き足されたのであった。

ア「杉元が、北海道の珍味を食べ尽くしたいんだといつも言ってたから…。」

杉「いってねえだろっ。おれはそんな理由で北海道を旅してるわけじゃないんだよ？」

ア「じゃあ杉元はどうして金塊が欲しいんだ？」

杉「まだいってなかったっけ。

　戦争で死んだ親友の嫁さんをアメリカに連れてって目の治療を受けさせてやりたいんだ。」

尾「惚れた女のためっていうのは、その未亡人のことか？」

白「え？そうなの？」

『ﾁﾗｯ…』

Aがアシリパの方を見ると、彼女はすこし俯いていた。

『(なるほどね。)』