山猫と山猫［尾形百之助］弍 (ページ41)

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八十四話ページ41

『百之助さん、私ね。4年前にあなたと会ってるの。』

尾「あぁ、覚えてる。」

『そうそう、それでね…。え！？覚えてたの？』

尾「思い出したのはつい最近だ。続けろ。」

『それで、その、結構前に話した、背中だけしか見えなかったけど気になるって言った人。それが百之助さんだったの。

　私は兄からそれは百之助さんだってついこの前聞いて…。』

尾「あぁ。」

『それでさぁ、その時の百之助さんに惚れたっていうのもあるけど

　私はあなたの不器用な優しさとか、そういうのを知って、

　やっぱりこの人しかいないって思ったの。

　
　まあ、それを、いいたかった、だ、け…。』

Aは尾形から伝わる体温の暖かさで寝てしまう。

一方尾形は真っ直ぐ伝えられたその気持ちを頭の中で処理しきれず、わずかだが顔を赤らめていた。

尾「言い逃げとはひでえな。」

目を閉じて笑う尾形。
その笑みは、いつものしたり顔ではない。

尾「全てが終わったら必ずお前の心を撃ち抜くぜ。

　それが、本当のスナイパー、だろ。」

尾形はAの頭をすこし引き寄せたあと、

自身もユクの中で眠りについた。

尾形は夢を見ている_____

『百之助さん、今幸せ？』

尾形と初めて会った時のAが、そういう

尾「あぁ、幸せだ。」

勇「兄様が幸せそうで良かった。」

尾「！！」

勇「私も兄様の幸せを見たかったです。」

尾形にとって呪いのような存在である勇作

尾形はこれは夢だと気づく。

気付いていても、彼の思いを聞かないわけにはいかなかった。

勇「私は兄様の幸せを願っていただけなのに、

　どうしてですか？

　どうして、どうして、、どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして、、、」

バチッ

尾形は鈍い音で目が覚める

『百之助さん、うなされてた。大丈夫？』

どうやら苦しげな尾形をAが叩いて起こそうとしたらしい。

尾「(お前は、俺を呪いからも救おうというのか。)

一生消えない、この呪いを。)」

『大丈夫、ここにいるよ。』

大雪山の冷風が、止もうとしていた。