山猫と山猫［尾形百之助］弍 (ページ28)

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七十四話ページ28

牛「もうすぐ樺戸監獄が見えてくる。

　監獄から一番近い宿で落ち合う約束だ。」

尾「しかし拍子抜けだぜ。網走の脱獄囚にもこんなザコがいたんだなぁ。」

鈴「俺は詐欺師だ。暴力で人から何かを奪うような野蛮な脱獄囚と一緒にしないでもらいたいな。」

一行は目的地へと近づいていた。

アシリパは牛山にも随分となつき牛山の肩にピ○チュウのように乗っている。

『(まあ意外と子供の扱い上手だからなぁ、牛山さん。)』

尾形よりは懐くわけだとAは隣にいる彼にちらりと視線を向けた。

尾「…お前今、失礼なことを考えたな？」

『んー、いやそう感じるかは人によるような案件だからお気になさらずー。』

尾「それを言ったら全部そうだろうが。」

旅館に着くと、土方らがすでに到着していたようで永倉新八が状況を説明した。

永「悪い知らせが二つある…。ひとつは、熊岸長庵は死んだ。」

「「「え！？熊岸が死んだことなんで知ってる！？」」」

実は土方一行は、熊岸長庵は脱獄の際に死んだと聞かされていたため、杉元たちが行った村でアイヌになりすましていたことなど知る由もなかった。

Aは、永倉新八と並ぶ鈴川を交互に見ていた。

永「どうしたAよ。お小遣いでもほしいんか。」

『へ？いや、瓜二つだなぁと。』

牛「永倉の爺さん、あんたAの顔見るたびに小遣いやろうとするのやめろ。」

ア「それで、もう一つの悪い知らせとは？」

なんと話によれば、白石は第7師団に捕まり旭川の第7師団本拠点まで連れて行かれてしまったらしくキロランケと土方が救助に向かっているという。

『戻ってきた。』

キロランケと土方は戻ってきたが、白石はいないことから救助は失敗に終わったと見たAだったが、実は彼女、白石にナンパされた覚えしかないのでそこまで思い入れはない。

土「おそらく白石は今頃旭川へついてしまっているだろう。あいつが勝手に脱出出来たとしても、いつになるのかわからないものを我々は待っているわけにもいかない。」

永「そもそも脱出できるかどうか…。脱獄王とはいえ監獄とは違うんだ。どんな扱いを受けているか。」

家「今この瞬間皮を剥がされているかも。」

牛「尾形お前見てこいよ。第7師団だろ？」

尾「俺は今脱走兵扱いだ。」

杉「キロランケは？元第7師団だろ？」

キ「俺は顔を見られた。」