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七十一話 ページ25

尾「!」



尾形が見つけたのは血だらけのAだった。


周りには多数の偽アイヌがおり、彼女はそれら全員の瞼を閉じて回っていた。




尾「…その血、お前のか?」


『返り血だよ。分かるでしょ。』


尾「そうやって瞼を閉じながら、顔を覚えていったのか。相変わらず律儀だな。」


『許せないと思った。



 この村の女性の愛する人を奪ったから。



 だから私は今回、怒りに任せてこの人たちを殺した。』



Aは尾形の方に振り向く




『私、最低だよ。貴方に罪悪感がどうとか言ったのに

今、この男たちは死んで当然だったとどこかで思ってる。




 私も、戦場から戻れない兵士と同じだ。』



尾「…。怖いか。自分が人でなくなるような感覚は。」




『怖い。』



尾「これからはもっと人を殺すことになる。



 だが思い出せ。お前は俺と契約を交わしている。




 死ぬまで俺に尽くすんだろ。安心しろ。


 お前のやったことを俺が全て許す。
 そして、俺もお前も一緒に地獄行きだ。」




『私、励まされてるなぁ。』



尾「あぁ、励ましてる。」



二人は並んで歩く




アシリパと杉元の元へ着くと、アシリパがAの服を見て衝撃を受けていた。


ア「どうしたA!怪我をしたのか!


 服がボロボロだし、このコタンで服を仕立ててもらってはどうだ?」





『あぁ、これは私の血じゃないから安心して。


 服は、今度街で買うよ。』



その後、村の女と一行は死んだアイヌの男たちを埋葬した。




埋めた後Aは手を合わせて蹲み込んだ。




杉「まるで祈ってるみたいだ。

  その行為は懺悔ととっていいのかい?

  君が殺したその男たちもまた、人殺しなのに。」


『こうでもしないと、自分の中の何かが欠けてしまう。


 あなたもアシリパと一緒にいると気付かされるでしょう。


 自分がどれだけ、戦場に心をとらわれてしまったか。』





杉元は軍帽を深く被りなおす。




杉「君はまだ清いよ。」




杉元はAの目を見つめ、微笑んだ。

Aは杉元のその笑顔がとても儚く見えて

杉元の頭に手刀をくらわせた。



杉「えっ、いたい!なに!」


『大丈夫、あなたも清いよ。


 あなたは、アシリパによって浄化されてるんだね。


 私がそうだもの。』



Aが杉元に笑いかけると、杉元はその笑顔に不意を疲れたかのように顔を赤く染めた。

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メルテア(プロフ) - ヒィんここまでノンストップで読ませて頂いてるのですが好きです!!夢主と尾形尊すぎるッ!!!ひぃん…… (2023年2月17日 22時) (レス) @page49 id: 35f1110521 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:rizu | 作成日時:2020年5月4日 14時

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