山猫と山猫［尾形百之助］弍 (ページ14)

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六十一話ページ14

尾「貸せ。」

尾形は茶碗とスプーンをAからぶんどった。

『？』

尾「口、開けろ。」

Aは目を点にした後

顔を真っ赤に染めた。

そう、目の前にいる尾形は自身の初恋な訳であり

そう思えば思うほど
自分の尾形への想いが露わになって来てしまったのだ。

大人しく食べさせられていたAだったが
終始その顔から赤みが引くことはなかった

尾「熱くないか。」

『….うん。丁度いい。』

杉「ねーえ？これお邪魔して大丈夫なの？」

ア「わたしが食べさせたかった…‼」

牛「嬢ちゃん、たまには譲ってやれよ？

　尾形、嬢ちゃんがあーんってしてた時超やりたそうだったもん。」

尾形は、Aの目の下に切り傷を見つけた、

涙袋と重なってアシリパから見えなかったようだ。

尾「薬塗るか？」

『目に染みそうだしいいよ。』

尾「そうか…。まああまり目立ちはしないしな。」

尾形はその手でAの頬に触れた
そして親指で、傷をなぞる

『百之助さんは、この傷気になる？』

尾「どれだけ傷があっても、お前はお前だからな。

別に気にならん。」

『そっか…。』

Aは、頬に触れている尾形の手に自分の手を重ねた。

『あったかい。』

尾「そりゃ生きてるからな。」

Aが尾形の体温で眠りに着くと尾形は静かにその手を離しクチャ(仮小屋)から外に出た。

杉「…今戻ってきましたー。」

牛「別になにもみてないんだからぁ。」

ア「…結婚しろお！！！」

「「アシリパ/さん！！？」」

尾形は言ってしまえば一目惚れだったのだ。

それを最近自覚しただけでAのことは会ってから
好いていた。

しかし過去のこともあり

誰にもその感情は口に出さない。

※しかし顔に出てしまうので周りの人は察する

ただ今は愛する人の傷が一刻も早く治るよう祈るばかりであった。