山猫と山猫［尾形百之助］弍 (ページ11)

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五十八話ページ11

朔「いいか、おまえはまず夕張へ向かえ。そしたら多分尾形たちの匂いは残ってる。

　おまえの鼻なら追えるさ。」

『朔太郎兄様、なんでそこまで私を守ろうとするの？』

朔「それはなぁ…お前が世界一優しくて、

　俺にとって愛しい存在だからだ。」

『…っ。』

朔「最後に、お前に言わなきゃいけないことがある。」

『なに？』

朔「おそらくお前が18の時惚れたのは尾形百之助だ。

　間違いない。

　お前を探しに行った時、海の見える崖に行った。

　そこにいたやつに女を見なかったかって聞いた。

　ボンボン女ならついさっき来たと。

　軍人だったから師団と名前を聞いたのさ、、。

　やつは尾形百之助だと答えた…本当さ。

　なあA、幸せになれよ。」

息絶えた朔太郎から告げられた新たな事実

今まで自分が共に行動をしてきた人が初恋の人だった

下半身のない朔太郎を一瞥してAは

第7師団の兵士達を

文字通り、皆殺しにした

これがのちに語られる紅桜の変

大量の兵士たちの血痕が花のようにひろがっており

その中央には朔太郎の遺体
遺体の周りには朔太郎の血だけが広がっていたことからAが兄の体を守りながら戦ったことがわかる

『夕張に行こう。』

偶然目撃した一般人によると

彼女は両腕に何発も銃を撃たれながらも

口に短刀を加えて戦っていたらしい。

尾「…。」

杉「そろそろ恋しくなっちゃったかな？ｺｿｯ」

牛「みろあのため息。恋する乙女のようだｺｿｯ」

ア「よっぽど心配らしいなｺｿｯ」