ハンカチがきっかけで【アレスの天秤】 (ページ17)

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１５.名前で呼べページ17

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騒がしいせいか、私たちの会話は誰にも聞かれていない。それは大変、好都合である。

「私はうるさい奴が嫌いなんだよ。

貴様のような派手で……騒がしい奴など、死んでもごめんだ」

ストレートすぎて彼女は、驚きを隠せていません。面と向かって言えるだなんて、相当な勇気があるなと少々羨ましいと思ってしまいますね。

涼野さんは私が、そのくじを渡さないように阻止するかのように＿＿＿奪い取る。あ、私のくじが…

「諦めろ。＿＿＿＿＿＿私は、Aの隣じゃないと許さない」

『さり気なく名前で呼ばないでくださいよ』

驚くではありませんか。……名前呼ばれるだなんて、ヒロトくんやお母さんくらいしかありませんのでね。

「名前で呼ばれて不愉快なのか？」と少し寂しそうに言う涼野さんに、私はもうこれ以上言うのはやめておくとしよう。

『…………涼野さん、一応よろしくお願いします』

恐らく関わるだなんてあまりないだろうと思い、一応という言葉を使った私。ぺこりと軽くお辞儀をして、本を読もうとしたのですが＿＿＿「……待て」と焦っているかのような声。

『はい、どうしましたか』

「………涼野さんって他人行儀ではないか…」

『た、他人だと思うのですが…』

「いや、少なくとも私はそう思っていない」

つまり何を伝えたいのでしょうか。涼野さんの心境を上手く読み取ることが出来ないため、混乱してしまう。＿＿＿＿人の心に敏感じゃないんですよね。

「＿＿＿＿＿昨日のお礼として欲しい。

私のことは名前で呼べ」

この展開＿＿＿＿何処かで見覚えがあるのですが気のせいでしょう。

そんなことを言われては、断るだなんて不可能ではないか。素直に従うしかなさそうだ。