ハンカチがきっかけで【アレスの天秤】 (ページ16)

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１４.席替えページ16

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「今から席替えするぞー」

昼休みが終わり、五時限目になった時のこと。だるそうな先生は、くじだと思われる折り畳まれた紙を持っている。

席順でくじを引いていくことになっていて＿＿＿私は最後に引くこととなっている。

『(本当は今の席のままでいいのですがね)』

後ろの席でしかも、端っこという最高の場所。…正直、席替えはしたくないです。

ついに私の番となり引いてみると＿＿＿＿＿運がいいのかまた、同じ席だった。神様、ありがとうございます。

皆さんが席を移動している中、私は黙々と考え事をしていた。今日の夜は何を食べましょうか。

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「………おい」

『(えっと…私のこと……？)』

私の勘違いだと恥ずかしいため、声のした方を向いた。長い前髪が視界を遮っているため、少しだけ横にながした。

向くと＿＿＿＿＿＿涼野さんがこちらを見ていて、「君だよ」と冷たく言う。私に話し掛けるだなんて基山さんとヒロトくんくらいしか居ませんよ。

『はい、どうしました？』

「…………君の隣だから……宜しくとでも言っておこうかと……」

『あ、そうですか』

まさか私の隣が、涼野さんだなんて。クラスの中で女性たちから人気のある彼。＿＿＿＿＿何か起こらなければいいですけど。

「氷雪さんいいな～

＿＿＿＿＿くじ、交換して」

流石は、クラスの中で権力を持つ彼女。やはり言われると思っていました。

本当はここの席がいいのですが、断れば「調子乗るな」だなんて言われそうですし……

『分かりました。……交換しましょう』

淡々と言い、机に置いてあったくじを彼女に渡そうと手に持つ。彼女の引いたくじは、前の席なため正直嫌ですね。

手のひらを広げる彼女の手に、くじを置こうとすると＿＿＿＿＿止めるかのように手首を掴まれる。

「くじの交換は無し…………そう先生が前に言ったのを覚えていないのか」

『確かにそうですけど…それはこっそりやれば大丈夫です』

「はぁ………君が大丈夫だとしても、私が大丈夫では無いんだよ」

ため息をつく涼野さん。＿＿＿＿幸せが逃げてしまいますよ。