水族館 ページ34
shp.side
何百回、何千回と来たであろうマンションの一室の前に立ち、インターホンを鳴らす。
スピーカーからは「今行く〜！」
という元気な声が聞こえ、扉の向こうからは大きな足音が慌しく近づいてくる。
『お待たせ！』
そう言った彼はいつも通り綺麗な顔をしていた。
shp「今日もキマっとるな」
『当たり前やろ〜？水族館やで!?』
目を輝かせる彼は子どもっぽくて本当に愛らしい。
俺がどこかへ連れ出したい時はバイクで迎えに来るけど、
こうして2人が知っている場所へ行く時は大体電車を使う。
電車が好きなのは俺ではなく、
『1番前やっぱええなぁ〜！めっちゃ見えるで！』
Aだ。
いつも1両目の1番前、運転席のすぐ後ろに立つ。
他に子供が居る時は邪魔にならないようにしゃがんで見ている。
肩車をしていることもある。
今日は他に子供が居ない。
思う存分楽しめている様で何より。
『ごめんなぁ、電車飽きるやろ？』
苦笑する彼もとても愛らしい。
shp「ええんやで。俺が好きで付き合っとるんやから」
ありがとな！と言って彼は前を向き直す。
この笑顔も来週、ここに居ないと思うと
少し寂し……いや、妬ましいな。
あの2人が妬ましい。
水族館の最寄り駅に着いたのでAの肩を叩き、名前を呼ぶ。
人が多いので俺が先導をすると、後ろから待ってや、と聞こえる。
Aは背が高いし、人混みを抜けたら振り返って
手を振ってやろう。
それで合流出来るやろ。
『おいついた！』
そう思っているとAの声が近くで聞こえた。
驚いて振り返ると
『待って言うたやん！僕すぐ迷子なるで？』
Aは俺の両肩を両手で掴んで笑っていた。
shp「めんどくさかってん」
そう言って目を逸らすと彼は楽しそうに笑った。
コイツは人に近づき過ぎやな。
他の人に同じ事せんとええけど。
その後、バスに乗り無事水族館に着く。
昔はAとたくさん来ていたが最近は来ていなかったのですごく久しぶりだ。
チケットを買うとAは嬉しそうに受け取った。
『いつも買うてくれてありがとうな！』
こうやって一回一回礼を言ってくれるのがAの良いところ。
俺がもう言わんくてええで、って言うまでは毎回言ってくれる。
面倒を見るこっちも気分が良い。
俺達が来ていなかった内に水槽は拡大されたらしく、
中には大きなサメがいた。
『おお〜！』
A輝く瞳でそれを捉えていた。
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海未［うみ］(プロフ) - 人狼のやつ、眼光の使用者は光らないと思いますよ (2020年5月1日 22時) (
レス) id: d98e594d97 (このIDを非表示/違反報告)
さささ(プロフ) - ましぃさん» ありがとうございます〜！！ (2020年4月13日 21時) (レス) id: 328f3541a2 (このIDを非表示/違反報告)
ましぃ - この作品面白すぎるw話も凄くいいし笑っちゃうw更新頑張ってください！応援しています！ (2020年4月12日 11時) (レス) id: f5daa61569 (このIDを非表示/違反報告)
さささ(プロフ) - ぽん酢さん» 嬉しい…ありがとうございます！ (2020年4月6日 20時) (レス) id: 328f3541a2 (このIDを非表示/違反報告)
さささ(プロフ) - (´・ω・｀)さん» そう言っていただけて光栄です！ありがとうございます！ (2020年4月6日 20時) (レス) id: 328f3541a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さささ | 作成日時：2020年3月29日 15時
