短編小説 /何でもない日も、貴方と居れば/ ページ29
――――『足の甲にキス』
「ねえ!次はあそこがいいわ!」
「はいはい、」
元気よく走り回る彼女に呆れたように苦笑いをしてついていく彼。勿論、今までに買った洋服、アクセサリー……その他諸々のお荷物たちは全て彼の腕へと収まっている。
「はやく、はやく!」
手招きをしている彼女の向かう先は靴屋。まだ買い足りないのか、とため息をつく。しかし、その表情に嫌悪は無く、寧ろ子供っぽく笑う彼女を愛しく思っている。そんな風だった。
「ぅうん……、」
顎に手を当て、陳列されている靴をじっくりと眺めていく。
気になった靴は手に取ってくるくると様々な方向を向けてみたり、試し履きしてみたり。兎に角忙しない。
次に気になったのは赤いパンプスの様だ。電灯の光に反射して真紅に光るそれは、彼女の白い足に良く映えた。
「ねえ、私、これがいいわ!どう、似合ってる?」
彼女は座っていた椅子から立ち上がると、ポーズをとってみたりくるりと回ってみたりして、彼に同意を求める。
「ああ、良く似合ってる」
そう答えると、彼女は満足そうに笑い、「すみませーん」と店員を呼び止める。
「これ、ください」
「今日はついてきてくれてありがとう」
彼女はにこりと笑うとそう言う。彼もその言葉に笑いを返す。彼女の笑顔だけで、荷物持ちも悪くないと思えるのだ。
「いいえ、俺は貴方の執事ですので」
冗談めかしてお辞儀をすると、彼女は得意そうに笑い、「そうね、私だけの執事さん」なんて冗談で返す。
彼はその場に跪き、まだ赤い靴を履いたままの彼女の足を手に取る。そして、その白い甲にキスをした。
「! ちょっと、ここ外よ!?」
「言ったでしょう、俺は貴方の執事――これはその証です」
気障に微笑んでみせると、彼女は頬を靴と同じ色に染める。
「え、ええそうね、」
けれど、負け惜しみか何なのか、つんと気取った風を装い動揺を隠す。
彼女の可愛らしい姿に思わず微笑む。
幸せだと感じた、何でもない日曜日の午後。
――――『隷属』
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
ラッキーアイテム
革ベルト
ラッキーカラー
あずきいろ
ラッキーナンバー
8
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容姿端麗に生まれ変わり隊(プロフ) - 『頬』と『額』は親しみ感が溢れてていいと思いました(o^−^o) (2019年4月29日 13時) (レス) id: 26de7c6d79 (このIDを非表示/違反報告)
沖蘭 - ちなみに頬へのキスは海外だと挨拶に近いですね。私も海外に住んでいるので親しい人とは頬にキスします。 (2017年2月26日 6時) (レス) id: 63d7861522 (このIDを非表示/違反報告)
沖蘭 - 月が綺麗ですねから来ました!!鼻梁は鼻筋の事ですよ。面白かったです!こんなことをしてくれる彼氏が欲しいです。続編も楽しみにしています!頑張ってくださいね!! (2017年2月26日 6時) (レス) id: 63d7861522 (このIDを非表示/違反報告)
零ーレイー(プロフ) - とりあえず完結しました〜!皆さま本当にお付き合いありがとうございました<(_ _)>近々続編を作るつもりなのでそちらも是非よろしくお願いします! (2017年2月11日 23時) (レス) id: 79ca697b23 (このIDを非表示/違反報告)
零ーレイー(プロフ) - のわあああ、意味が意味なのでヤンデレ続きになって申し訳ないです……全然純愛じゃない…キスの格言に相応しくない…… (2017年1月31日 20時) (レス) id: 79ca697b23 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:零ーレイー | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/list/hina99121/
作成日時:2016年8月31日 18時