短編小説 /君の目を奪うのは/ ページ9
――――『耳にキス』
「ねえ」
「何」
「今日さ、日曜日だよ」
「そうだね」
「折角の日曜日、君は何をしているの?」
「見たら分かるだろポコGOだよ」
「わざわざ彼氏連れて?」
「悪い?」
あ、○○ゲットー。
彼女は彼には分からない誰かの名前を呟き、嬉しそうにまたあたりをうろうろし始める。
そりゃあ、嬉しそうに笑う彼女の顔はすごく可愛いし、それを見ているのも好きだけど。
”ホラ、出かけるよ!”
彼女が珍しく自分から誘ってくれたから、ちょっと期待してたのに。
じゅわりと焼けるような日差しを避け、彼は木陰のベンチへと腰掛ける。
「熱ッ!」
しかし、その木でできているはずのベンチですら高温になっており、彼は思わず飛びあがった。
彼女は帽子も何もかぶらず、忙しそうにうろうろと公園内を歩きまわっている。
熱中症になったりしないのかな、彼が心配になるほど、その日の気温は高かった。
ああ、こんな日だから、水族館にでも誘おうかと思っていたのに。
でも、デートに水族館だなんて、今時もう古いのかな。
それでも、折角の休日をあの四角い機械に乗っ取られるのは癪だった。
それはもう、彼女の目を奪う無機質にすら嫉妬してしまうほどに。
「ねえ、」
「んー、」
彼女の返事は上の空。
「ねえってば!!」
彼は我慢できなくなり、グイッと彼女の顔を無理やりこちらに向かせる。
「ッたい!痛い、首が折れちゃうよ」
「折角二人で出かけたのに、ポコモンと僕どっちが大事なの!?」
必死にそう言うと、彼女はぽかんとした顔をしたあと、ブッと吹きだした。
「ごめん、ごめん。必死に私の気を引こうとする君が可愛かったの」
彼女はスマホの電源を落とし、笑う。
ああ、もう、その笑顔は反則だよ?
「僕の前で、僕以外のモノに夢中にならないで」
そう言って、彼女の耳にキスをした。
彼女がその意味を知っているのかどうかは定かではないが、彼女は顔を真っ赤にして驚いたようにこちらを見る。
「なッ…にやって…!!ここ外だよ…!」
知ってる、と微笑むと、彼女もにやりと笑い、少し背伸びをして彼の耳に口付ける。
「受けて立つ!」
――――『独占欲・誘惑』
短編小説 /彼女に抱くこの感情は?/→←短編小説 /遠距離恋愛の、君と/
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
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あずきいろ
ラッキーナンバー
8
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容姿端麗に生まれ変わり隊(プロフ) - 『頬』と『額』は親しみ感が溢れてていいと思いました(o^−^o) (2019年4月29日 13時) (レス) id: 26de7c6d79 (このIDを非表示/違反報告)
沖蘭 - ちなみに頬へのキスは海外だと挨拶に近いですね。私も海外に住んでいるので親しい人とは頬にキスします。 (2017年2月26日 6時) (レス) id: 63d7861522 (このIDを非表示/違反報告)
沖蘭 - 月が綺麗ですねから来ました!!鼻梁は鼻筋の事ですよ。面白かったです!こんなことをしてくれる彼氏が欲しいです。続編も楽しみにしています!頑張ってくださいね!! (2017年2月26日 6時) (レス) id: 63d7861522 (このIDを非表示/違反報告)
零ーレイー(プロフ) - とりあえず完結しました〜!皆さま本当にお付き合いありがとうございました<(_ _)>近々続編を作るつもりなのでそちらも是非よろしくお願いします! (2017年2月11日 23時) (レス) id: 79ca697b23 (このIDを非表示/違反報告)
零ーレイー(プロフ) - のわあああ、意味が意味なのでヤンデレ続きになって申し訳ないです……全然純愛じゃない…キスの格言に相応しくない…… (2017年1月31日 20時) (レス) id: 79ca697b23 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:零ーレイー | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/list/hina99121/
作成日時:2016年8月31日 18時