#11 -Lena side- ページ12
首筋にくるであろう凄まじい痛みと衝撃を予想し、身体が硬直する。
ビュッと風の音が耳元で聞こえた。ぶわりと全身に鳥肌が立つ。……ああ、私の最期はここなのか。
なんて情けない最期なのか。殉職したわけでも、ノックであることがばれて殺された訳でもない。私が知らない人にのこのことついていったせいで殺されるとは。しかも勘違いで。
『知らない人にはついていかない』
子供の頃に何度も教わったのに。
ナイフが私の首に到達するまでの間に、脳内では沢山の”後悔”たちが一斉に騒ぎだす。
あんなことをしておけばよかった。こんなこともしたかった。
伝えなきゃいけないことも沢山あったのに。
さようならだ、探偵団の皆。博士。梓さん。ジン。ウォッカ。ベルモット。風見に、バーボン……
こんな出来そこないの潜入捜査官でごめんなさい。確かに上司は人選ミスだった。
目を瞑る力がさらに強くなる。
カンッ!カラン……
「間に合った!!」
コナン君の声が聞こえた気がした。これは幻聴というやつか?死への恐怖はそれほどなかったつもりだったが、こんな極限の状況に追いつめられると、案外生きることへの執着がわいてしまう。
――――――――あれ?
いつまでたっても想像していた痛みが来ない。痛みを感じる前にもう死んでしまったのか。
恐る恐る目を開けると、そこには――――
息を切らし、全力で駆けてきたであろうコナン君とバーボンの姿。と、遠くへふっ飛ばされたナイフ。転がるサッカーボール。呆然とする犯人。
「なっ…んだ、お前ら!ああ、真菜の今の彼氏、か!…まあいい。ガキもろとも殺してやるよ!」
武器を失ってもなおバーボンたちに殴りかかろうとする犯人の拳を避け、見事に鳩尾に一発お見舞いする。
…いつ見てもバーボンのパンチはすごい。私なんかとは比べ物にならないほど。
「が…ッ、はッ…!?」
口から泡を吹いて倒れる犯人を支え、バーボンは耳もとでこう呟く。
「誤解ですよ。彼女は真菜ではなく菜月。最初から僕の女です」
(…………何で?)
「菜月おねえちゃん!もう大丈夫だよ!怪我はない!?」
コナン君が縄を解いてくれる。
「…あ、うん。おかげさまで…ありがとう」
思わず泣きそうになってしまった。
(…何で、何でそんなこと言うの?)
(”僕の女”だなんて。そんなこと欠片も思ってない癖に)
(偽りの恋人同士の癖に。そんなこと言われても泣きたくなるだけなの)
(……余計、惨めになるだけなの)
181人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
零ーレイーついった始めました(プロフ) - 美空さん» 閲覧&コメント有難うございます!本当ですか!嬉しいです( *´艸`)頑張らせていただきます♪ (2017年8月16日 20時) (レス) id: 79ca697b23 (このIDを非表示/違反報告)
美空 - この小説すごく泣けました!新作楽しみにしてます(^^) (2017年8月16日 14時) (レス) id: 611dba761a (このIDを非表示/違反報告)
零ーレイー(プロフ) - 4696猫さん» 閲覧&コメント有難うございます!神作品!!?うわああ有難うございます!!感激です……! (2017年1月12日 22時) (レス) id: 79ca697b23 (このIDを非表示/違反報告)
4696猫(プロフ) - とても胸が締め付けられるような、そんな感じがしました!とても面白かったです!!コナン好きな私にとっては神作品でした!!お疲れさまですヽ(*´∀`)ノ (2017年1月12日 21時) (レス) id: 2682e5942a (このIDを非表示/違反報告)
零ーレイー(プロフ) - れいにゃんさん» 閲覧&コメント有難うございます!神だなんて……私なんて全くですよ;;お褒めの言葉ありがとうございます! (2016年10月16日 20時) (レス) id: 79ca697b23 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:零ーレイー | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/list/hina99121/
作成日時:2016年5月26日 18時