及『俺の兄ちゃんについてどう思うか意見を求めたい。』V

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ぽろっと思わず涙が一粒落ちる






やばい、我慢してたのに




貴「アレ、やべーな…
歳とるとやっぱ涙腺が弱くなりますね」




無理やり笑うと烏養さんが俺の頭にタオルをかける





烏「笑わなくていい」


貴「…イケメン、烏養さん」




へへ、と笑うが、もう無理だ




カッコ悪いけど、見ないふりしてくれ





ボロボロと涙が溢れた






貴「悔しくて、辛くて…
でも、ぶつける所なんかどこにもなくて、

バレーすると膝が痛むのが怖い
バレーを見るとソレを羨望してしまって苦しい

それが嫌でバレーから、離れました」





暑いコンクリートに落ちる涙は瞬く間に蒸発して消える





貴「でも、やっぱり…
離れられなくて…！」





バレーが好きだ


でも、プレイヤーとしてはもう中途半端にしかできない


それが嫌で、チームに入らないかという誘いを笑って流して過ごしてきた




それでも、弟に、弟のチームに、そして烏野に、


バレーを教えるくらいなら、と必死に固執してしがみついて




貴「でもどうしたって、
レシーブを上げた時の腕の痛みも
相手チームのスパイカーの悔しそうな顔も
仲間からの賞賛も
客席からの歓声も
会場の熱気も
バレーの気持ちよさも…


全部、忘れられないんです。」





烏野を見て、合宿を見て、いいなぁと思ってしまった





日の丸を背負って、その一球一球に全身全霊をかける

相手が完璧なセットアップで完璧なコースにスパイクを放つ

それを俺が背中に歓声を受けながら完璧に返す

何度夢に見た事か





貴「医者になったこと、後悔してません。
こうして、皆が安心してバレーができる環境に、俺がいる事でなってるなら」





そのためにどんなに努力したっていいし、徹夜だって、休みの日に来ることだって全く苦しくない



でも




貴「でも濱安からの電話を受けて、事故の事実はなんにも変わらないのに、後悔ばっかおしよせて…
風邪引いて烏養さん怒らせて、色んな人に迷惑かけちゃって…」




本当、情けない









烏「…お前は今でも、プロになりたいのか？」






ああ、そうかもしれない



こんなに悔しいのも、苦しいのも




貴「…やだなぁ、そんな訳…」






今日は、今日だけは


ワガママ言ってもいいかな





熱に浮かされた、泣き虫の子供の戯言だと。

そう思って聞いてくれ






貴「…俺は、まだ＿＿＿＿ 」

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