じしょーへき

■■■　error ページ29

現在、金曜日の昼。私は学校を休んだ。勉強をしよう､そう思っていても娯楽に走る癖はまだ治っていない様で。




「何、此のゲーム。」




一人の部屋で零れ出る声。



私は、面白そうな脱出ゲームを見付けた。スマホアプリの様だ。



題名はバグが起きていて、■■■となっている。成程、中々面白い演出じゃないか。



私は説明も見ず、其のゲームをダウンロードした。



其のゲームはとてもリアルで、ルールも"彼"と此の館から逃げ出す､という質素な物だった。



辺りを見回してみると、とてもリアルだった。今流行りのメタバースの様に見える。シャンデリアの眩い光、其の光の屈折等。全てがリアルでとても気分が高揚した。



洋館なのもポイントが高い。取り敢えず、脱出する為の出口を探す事にした。



糸が張り巡らされている部屋や、ポータルの様にいきなり開く落とし穴、人形だらけの部屋が有ったりした。



シンプルな謎解きだけでなく、吃驚要素も入ってきて面白かった。



そして、私は三十分間の努力の末、出口を見付ける事に成功した。トラップは無い様に思える。


嗚呼、此れでクリア何だ。と少し憂いを帯びたアンニュイな顔で思っていると、後ろから声がする。




「此処かラ逃げらレると思うナよ。」


「…えっ、」




GAME OVER､其の文字と黒い背景が私を理解させる唯一の材料となった。



もしかすると、時間制限等が有ったのかもしれない､と思い、私は直前からもう一度始めた。



何回かやっていれば、クリア出来る筈だ。…だが、現実はそうはいかなかった。



何度やってもあの黒い奴が出てきて、私はGAMEOVERとなった。



一度会話を試みて名前は分かったが、其の後にGAMEOVERとなった。因みにerrorというらしい。



何度も何度も繰り返し、もう飽きてきた其の時、私はまたGAMEOVERとなった。



そして、次リプレイしてクリア出来なかったら止めよう､そう思っていた時。




「…リプレイボタンが無い。リセットボタンも、セーブデータも無い…！？」




何故だろう、ゲームのバグだろうか。少し気になり、再起動する。



そして、ゲームを開くと目の前にはerrorが居た。画面の中ではなく私の直ぐ目の前に居た。




er「そんナ事をしテも逃げらレないぞ、A。」




何で私の名前を知っているんだ､とかは言っていられなかった。其れも其の筈。



糸で手を引っ張られ、スマホの中に入り込んでしまった人がそんな事を言える訳が無いのだから。

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