からかわないで、月永くん。

３.心配してください ページ4

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『いたっ。』





紙で指を切ってしまった。
これがかなり痛い。紙で指を切るってかなり痛いと思うのは私だけだろうか。

指からは軽く血が出ている。早く止血しないと、と思いポケットからティッシュを取り出して当てたのはいいが＿絆創膏がない。

絆創膏は持ち歩いていないのだ。こういった場面にあって絆創膏は持ち歩いた方がいいなと改めて思った瞬間だった。





「やっほ〜！ってティッシュで指を押さえて何かあったのかっ？」


『ちょっと紙で指を切っちゃって。』





からかい王の登場である。
何か言われるのでは、と身構えていたが月永くんはただ私の指をじっと見ていた。

何も言わないものだから心配。





「大丈夫かっ！？」


『反応遅い....じゃなくて、少しだけ痛いけど多分大丈夫だよ。』





月永くんが心配してくれている事にかなり驚いている私だが＿これもからかうためなのだろうか。少し疑ってしまうのは許して欲しいです。

だがしかし、月永くんは本当に心配しているように見える。＿＿＿からかうための演技だとは思えないくらいに。





「どっかに血つけてないよなっ！？つけてたら後で拭いておかないといけないし。」


『....え。』





今なんて言ったこの子。私の心配をしていたんじゃなかったの。

あわあわとしている月永くんを見つめる。その視線に気づいたのか軽く微笑んできた。いや、微笑む要素なんて一つもなかったよね。





「どっかに血がついてたら大変だな....。」


『え、私の心配よりも血がついている事の方が心配なわけ？』


「あ、ごめんなっ！大丈夫？」


『今言うのかよ！！』


「そんなに怒んなって。」





ヘラヘラと笑っている月永くん。
これはどう見ても確信犯だな。

また月永くんにからかわれた。あんなにも疑っていたのに見事に騙されるとは。





「ほら、仕方ないから絆創膏あげる。ありがたく思えよっ！」


『はいはーいどうも。』





何だかんだ言って絆創膏をくれるのか。＿＿＿実は月永くんってツンデレか何か？


*絆創膏*





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