からかわないで、月永くん。

１１.急かさないでください ページ12

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「ずっと気になってたんだけど、おまえって誰に対しても苗字呼びなのかっ？」


『え、ま、まぁ。けど、凛月くんだけは名前呼びにしてる。初対面の時に苗字で呼んだら無言の圧掛けられたんだよね....。』


「わはは！流石だなリッツはっ！」





先生に頼まれて色々な道具が入ったダンボール箱を運んでいると、たまたま月永くんに会った。彼の手にはペンが握られていたので何となく会う前にやっていた事を察した。

少し重たいダンボール箱だったがそれを見た月永くんがさり気なく奪い取り、今現在私の手には何もない状態だ。

....なーんか申し訳ない。





『何で急にその話....？はっ、もしかしてまた何か企んでいるんでしょ。』


「そんなつもりはなかったんだけどなぁ。」





少しだらけたような口調で話す月永くんは本当に企んでいないらしい。何度もからかわれていれば流石に疑ってしまうのも無理はないはず。

それは許せ。





「....おまえってちゃんとおれの下の名前分かっているよ、な？」


『プロデューサーがアイドルの名前を把握していないわけないでしょ。』


「ならさ、呼んでみて。」


『....え。』





何で名前呼びに関して話していて....そこから名前で呼んでみてという流れになったのか。

名前は勿論分かる。分かるが中学生の頃から男の事を名前で呼んでいない。男全員、苗字呼びで統一していたのだ。

高校に入っても苗字呼びだと思っていたけど、それを好まない人がいて、慣れていないものの何とか名前で呼んでいるが....。





「まさか....嘘ついてないよな？いつも苗字呼びだから下の名前分かりませんって感じ？」


『そ、そんな訳ないでしょ！！』


「だよな〜っ！おまえが嘘をつくはずがないし仮についたとしても即バレるよな！」




てことで呼んでっ？、と言いながら私の方をじっと見つめてくる。

有無を言わせる状況なんてない。逃げようと思っても彼の手にはダンボール箱。何処に持っていくかを伝えていないため無駄。





『....レオ....くん。』





初めて呼ぶ彼の名前。
呼んだだけなのに変な感じがする。違和感、と言った方が正しいかもしれない。




「....うん！それでいいぞ！これからはそう呼ばないと反応しないからっ！」





嬉しそうに騒ぐ彼が何処か可愛く見えた。


*名前呼び*





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