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お見送り ページ8

「高峰はどこで降りるの?」

電車の中、先生が聞いてきた。

「中洲です。」

「そうなんだ!
俺そこから乗り換えて、橋本だよ。」


「橋本って…ひと駅しかちがわないんですね!
結構近いですね。」

先生と近いんだ。
少しワクワクする。


とか言いつつ、電車の上で踏ん張ってる脚は震えている。

先生がさり気なくガードマンになってくれている。

その優しさ、ちゃんと気づいてますよ。

でも、やっぱり怖い。


「大丈夫か?タクシーで行く?」


あ、顔、強張ってたのかな?


「大丈夫です。」


嘘だけど…

でも、これからも電車に乗らなきゃいけないんだからここで耐えなきゃダメだよ。

それに今は先生がいるし!

絶対大丈夫だよ。
安心して……いいんだから。


そこからはずっと他愛もないお喋りをして、長い電車の時間が終わった。

本当は10分ほどなんだけど。



「高峰んちここから近いのか?」

「歩いて15分くらいです。」


「そこそこあるな。
よし、道案内任せたぞ。」

「え?
どこまで来るんですか?」

ちょっとキョドっちゃった。

「ん?家までって言ったじゃん。」


「本当に来るんですか?」

ついつい聞き返す。

「行くよー。で、ここからどう行くの?」


「この道ですけど…」


本当に来るんだ。

嬉しいような何か複雑な感じ。


「高峰学校までどのくらいかかる?」

「40分くらいかな?」

「そっかー。じゃあ俺と同じくらいだな。」

小さな共通点。

それだけで嬉しい。


家まではあっという間で門の前で先生とさよなら。

「今日はわざわざありがとうございます。
あと、助けてもらって本当に嬉しかったし、感謝してます。
あの時先生がいなかったら私…」

「気にせんでいいよ。
たまたま俺がいただけだし。

あと、警察に届けだすんだぞ。」


…え。

被害届け?

「出さないといけませんか?」

「まぁ出すのがオススメだけど…

嫌ならいいと思うよ。
今回はあれだしな。」

「そうですか。」

出したくないな。

「まぁ、いつでも相談乗るよ。
何でも受け付けてるかな?」

冗談半分に言った。

「ありがとうございます。」

「じゃあな。おやすみ。」

「おやすみなさい。」


そう返す。
先生とおやすみなんて初めて交わすな。

恐怖→←先生



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設定タグ:先生 , 恋愛 , イケない恋ないけ   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
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作者名:ひとみ | 作成日時:2014年8月22日 2時

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