わたしと○○�� ページ4
Aside
朝起きて私は必ず1番最初に顔を洗う。それは｢完璧な私｣を作る為に必要な行為だ。
顔を洗い、髪を梳かす。制服に着替え、そして鏡の前でニッコリと笑う。
こうして完璧な｢作られた私｣が出来る。
よし。今日も私は完璧だ。
ﾌﾞｰｯ
支度を整えた所でスマートフォンの通知が鳴る。
メッセージを送ってきたのは『先輩』だ。
先輩とは、私の1つ上の同じ学校に通い、私が住んでいるこのマンションの別の階に住む人だ。
このマンションには3年半前から住んでいる。
私が玉狛支部に住まない理由として、もちろん引っ越すのが面倒というのもあるが、基本的に仕事が本部にあるからであり、本部からも玉狛からも学校からも近いこのマンションは住むのにうってつけなのだ。……まさか先輩も居たとは思いもしなかったけれど……。
その為朝時間が合えば学校へ一緒に登校している。
｢…父さん、母さん、行ってきますね｣
玄関に飾ってある家族写真へと挨拶をして家を出る。
階段を降りた先にその先輩は待っていた。
彼を見た瞬間に私の絵に描いたような完璧な顔は気だるさを纏っただらしない顔へと変化した。
｢隠岐先輩！おはようございます〜｣
隠岐｢おはようさん、A。相変わらず切り替え凄いなぁ〜｣
隠岐孝二先輩。彼は私の狙撃手としての師匠であり、高校の先輩である。
私が｢作られた私｣で接する必要の無い人である。
｢隠岐先輩、今日の狙撃手訓練なんですか？｣
隠岐｢今日はなんやったっけ……通常狙撃やった気ぃするなぁ……｣
｢…ふぅん……｣
隠岐｢お、もしかして今日こっち来るん？孤月はええの？｣
｢……うん、今日はそっち行こうかな｣
私はレイジさん同様にパーフェクトオールラウンダー目指しているので、未だにポイントが届いてない狙撃手ポイントをどうにかしなくてはならない。
この際孤月は後回しでも…って言うと孤月の師匠にキレられるのでちゃんと｢すみません、今日は狙撃手の方に行きます。孤月は明日ランク戦行きますので｣ときちんと連絡を入れた。
隠岐｢上位取れるとええねぇ〜｣
｢隠岐先輩が居なければ順位上がるんで遊んでてくださいよ｣
隠岐｢えっ、それ師匠に言う言葉ちゃうやろ｣
なんて会話をしながら学校へと向かう。
わたしは地味にこの時間が好きだ。
━━わたしと隠岐孝二━━
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作者名：慧夢 | 作成日時：2023年11月5日 0時
