昔話（阿部編） ページ33
◇
side 阿部
『隣のおばあちゃん、苦しそうです』
さくちゃんからナースコールが押されて
急いで病室へと駆けつけたら、焦点の合わない目でたんたんとそう言われたんだ。
ちょうどお昼ご飯の時間で、そのおばあさんは誤嚥したみたいなんだけど。
「あら、さくちゃん
また食べてないじゃない」
『すみません、食欲なくて』
「無理にとは言わないけど、もう少し食べなきゃ」
『ごめんなさい、』
目の前で広げられる、
食器を取りに来た看護師さんとさくちゃんの会話。
「何なら食べられる？」
『へ、？』
「プリン？ヨーグルト？」
『大丈夫です、病院食ちゃんと食べれるようになりますから』
思い返せばこの頃もそうだった。
何も大丈夫じゃないのに、��大丈夫��ってそれだけを繰り返して。
呪文のようにそう唱えてた。
でも、僕とさくちゃんの関係が近くなった日。
それはこの日の夜のこと。
「阿部先生、さくちゃんがっ」
夜中の2時、あの日は確か夜勤だったっけ。
急いでさくちゃんの病室まで走れば、
『けほっ、ん…はぁ っ』
ベッドから落ちていて、苦しそうにもがくさくちゃん。
「大丈夫かしらね、」
ナースコールを押してくれたのは、隣のおばあちゃんだったみたいで。
いつもならとっくに寝ている時間なのに
心配でさくちゃんの様子を見てくれてたみたい。
『やらっ、…けほっ』
「だいじょーぶ、さくちゃん僕が見える？」
『はぁ…っ、んん』
過呼吸を起こして、泣きじゃくるさくちゃんには
もう何を言っても通じなくて。
『離してっ、けほっ…ん』
「だいじょーぶ、守るからね」
安心した、ちゃんと泣ける子なんだって。
嫌なことは嫌だと、ちゃんと伝えられる子なんだって。
「さくちゃん、ちょっと移動しようか」
暴れるさくちゃんを抱き抱えて、個室へと着いた頃にはもう
僕の腕の中で気持ちよさそうに眠っていた。
◇
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1142人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ジャニーズ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
A - ひめさん» 占ツクのツイートにいいねをさせていただきました！あと、私のプロフィール欄に占ツクのAと書きましたのでわかりやすいと思います！アカウントの写真？は薔薇の写真です！ (2020年7月27日 22時) (
レス) id: c593ad42f9 (このIDを非表示/違反報告)
ひめ(プロフ) - Aさん» ええぇ、！（泣）私はAさんのアカウントが分からないので、 私のツイートどれかにいいねを押してもらってもいいでしょうか？(汗)すみません、、 (2020年7月27日 17時) (レス) id: 2ffb972cd7 (このIDを非表示/違反報告)
A - ひめさん» すみません！ひめさんにDM送ったんですけど、「送信に失敗しました」ってなって、送れないです。 (2020年7月24日 10時) (レス) id: c593ad42f9 (このIDを非表示/違反報告)
ひめ(プロフ) - Aさん» うわぁぁ、もうありがとうございます！！めちゃくちゃお手数かけますがDMくれたら飛んでいきます！！★ (2020年7月23日 11時) (レス) id: 2ffb972cd7 (このIDを非表示/違反報告)
A - ひめさん» フォローしてます！ (2020年7月23日 10時) (レス) id: c593ad42f9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ひめ
| 作成日時：2020年3月26日 0時
