花子さんと太郎さん! ページ21
手を繋いだクロックレディと花子さんの妖力は増幅し、2人の手前に異空間へのホールを作り出した。
「時よ……戻れ!」
クロックレディが、先程は狂爛の花子さんに邪魔され発動できなかった、時を戻す能力を発動する。
鐘の音と共に、花子さんの“お友達”は光となって異空間へのホールに吸い込まれていった。
そのホールは光となって弾け、消えていく。
だが、弾けて散っていく光の中に、執事が立っていた。
「あなた……どうして帰らなかったの!?」
花子さんが驚愕する。
執事はそれに答える代わりに、自らの過去について語り始めた。
「……50年前、小学生だった私は悲しい死を遂げた少女の怨霊がトイレに取り憑いていると言う噂を聞きました」
子供の好奇心とでも言うべきか、恐れる気持ちを持たずに早速噂のトイレに呼びかけてみた。
《はーなこさん!》
すると、悲しげな表情をしたおかっぱの少女が現れたかと思えば、小学生だった頃の執事は異空間に飲み込まれてしまった。
「あなたは、私が最初に連れてきてしまった子供だったの……他の人より、とても長い時間を奪ってしまった……1番私を恨んでもいいのに……」
沢山遊び、沢山笑いあった。
それでも、花子さんは執事に対して申し訳ない気持ちでいっぱいだったのだ。
そんな花子さんに、執事が力強く言い切る。
「いいえ。私の人生は、常にあなたと共にありました。私に……奪われた時間など、1秒たりともありません」
瞬く間に、花子さんの頬が赤く色づいた。
執事が花子さんの両手を取る。
「私は……花子様を愛しています」
途端に、小学生だった──まだ幼い頃の2人の面影が浮かんだ。
《寂しいなんて言わないでください。花子ちゃんには、僕がいます!》
《太郎君……!》
大切な時間を奪ってしまった自分を、愛してくれる人がいた……その嬉しさと感動で、花子さんの目から涙が溢れた。
2人は、固く抱きしめあったのだった。
「う……うぅ……いい話だ〜!!」
そんな2人を少し遠くで見守っていたA達。
マタロウは大号泣真っ只中だった。
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ヒメアミ(プロフ) - ミアさん» もう最高でしたね!しかも続編を匂わせてましたし……!……何ですかそれめちゃくちゃエモいじゃないですか!最高です!ありがとうございます!!m(_ _)m (2021年4月2日 21時) (レス) id: 773d896b8c (このIDを非表示/違反報告)
ヒメアミ(プロフ) - かふぇもかさん» 了解しました!( ̄^ ̄)ゞお願いします!! (2021年4月2日 20時) (レス) id: 773d896b8c (このIDを非表示/違反報告)
ミア - 最終回おもしろかったですね!マタロウが最後にシンの経験談の話をするというのはどうですか? (2021年4月2日 19時) (レス) id: b9853fe50f (このIDを非表示/違反報告)
かふぇもか(プロフ) - ヒメアミさん» ありがとうございます!できたらボードの方に寄らせていただきます…!m(__)m (2021年4月2日 18時) (レス) id: 586d3de0ac (このIDを非表示/違反報告)
ヒメアミ(プロフ) - かふぇもかさん» はじめまして!!……え!?いいんですか!?むしろこちらからお願いしたいです……!かふぇもかさんの描きたいように好きに描いてやってください!!どうか是非……m(_ _)m (2021年4月2日 18時) (レス) id: 773d896b8c (このIDを非表示/違反報告)
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