ＥＧＯＩＳＴ (ページ5)

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「それにさ、」

私の目をじっと見て、困ったように微笑む。

「あんな会い方して、いきなり俺にあんなこと言われて、それなのに俺のために泣いてくれるなんて、優しすぎるし可愛すぎるよ」

「…っ！」

じわじわと耳が熱くなるのがわかる。

なんだかあまりにも恥ずかしくなって、顔を下に向ける。

「…ねぇ、この前は昼休みだったし、改めて俺の気持ち伝えさせてほしいな」

「え…？」

「…だめ？」

眉を八の字にして、困ったような顔をする。

そんな顔を見たら、なんだか断ることもできなくて

「う、ううん…駄目じゃ、ない、よ」

「ありがとう」

ほ、と安心したような表所をして、ぽつり、ぽつりと話し始める。

「…本当は、１年の時から気になってたんだ。

最初は、サッカー部に可愛いマネージャーがいるって噂聞いて、興味持ってた友達に連れられてＡ組まで見に行ったのが始まり、かな。

見て思ったのが、今まで見たことないくらい優しい笑顔の子なんだなって思ったこと。

ストーカーみたいだけど、Ａ組の子にどんな子か聞いたりして。

…皆が嫌がる学級委員、引き受けることとか、悪口を言わないこととか、他人の間違いははっきり言うこととか、色んなこと聞いた。

いつの間にか目で追いかけてて、気が付いたらどうしようもないくらい好きになってた。

…うん、本当に、好き」

頬をピンクに染めて、そんなことを言ってて。

暴れる心臓をどうにか押さえつけようとしてもできなくて。

「でも、いきなり付き合ってなんて、それも違うと思う。

百瀬さんには、俺のこと知って、俺のこと好きになってもらいたいんだ。

だから、その。

友達から、スタート。

した、くて…。

友達が無理なら、友達より下からでいいから！

あ、でも、友達のしたって…」

「ふふ、」

真剣にそんなことを言う篠原くん。

軽い、なんて見た目だけでものをいう私はバカ。

こんなにも真面目で、一途で、どうしようもないくらい優しくて、温かい人なのに。

「私も、篠原くんのこと、知りたい」

涙はいつの間にか、篠原くんが温かい笑顔で乾かしてくれたみたいだった。