18 雪音side ページ18
ちらり、と視線を菜々子たちに戻す。
と。
「え、何やってんの菜々子」
「?!!!」
菜々子が、西海の口元にプリンのスプーンをもっていっている場面。
あー、あの子、ほんとに そういう考えないんだから。
菜々子のことだから、プリンの美味しさを知ってもらいたくてとか、他愛もない理由なんだろうけど。
まぁ気にすんな、そう篠原くんに言おうとしたら。
「(………お、っと)」
眉を八の字にして。
拳を固く握って、
今にも走り出して、菜々子のところへ行きそうな顔をして。
余裕なんか欠片もない、と今にも叫びだしそうな。
「(…何言っても無駄だわ、この人)」
仕事あるし、もう行こ。
そう思って、足を動かそうとすると。
「は、英さん!」
声をかけられ、足を止める。
「も、百瀬さんて…あの人と、付き合ってる、の?」
その言い方、表情を見て思った。
こいつ本気で菜々子のことが好きなんだなー、と。
まぁ、私は意地の悪い女だと自負するくらいに意地が悪い。
私は菜々子の味方だけど、
生憎、篠原くんの味方ではない。
「付き合ってたら諦めるの?」
それだけ言って、足を動かす。
私は意地が悪い。
それも相当に意地が悪い。
そんな意地の悪い私が、あんなことを言ってしまった。
「(はー…、誤算だわ)」
あんな、背中押すようなこと言っちゃったじゃん。
「(ま、精々頑張れー)」
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作者名:向日葵 | 作成日時:2016年2月3日 10時