17 途中 雪音side ページ17
「これ、もともと 半分で食べる予定だったんでしょ?これで売り切れだったの?」
「え?」
「ん?…梓くん、プリン、1個しか買ってきてなかったから…」
「…それ、菜々子の分だよ。確かにそれで売り切れだったけど」
「えっ?じゃ、じゃあ、これ梓くんの分だよ!ごめんね、渡されたから何も考えずに食べちゃった…!」
「俺はいいよ」
「よ、よくないよ」
「いいよ。俺は、俺より菜々子のほうを優先してるから」
「えっ、」
「っ!」
かぁ、と赤くなる梓くん。
つられてこっちも赤くなる、あ、熱い。
「ふ、冬なのに、天気よすぎて暑いね…!」
「…うん」
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―――――――――――――………
「(………。)」
「(…お?)」
少し用事があって、放送室から出て 廊下を歩いていたら。
窓越しに何かを見つめる 篠原くんの姿。
いつもの甘い笑顔はなく、少し思い詰めたような顔。
「(どーりで女子が色めき立ってるわけだ…)」
通り過ぎるとき、篠原くんが 何を見てるのか気になって 私もちらりと窓ガラス越しに下を見る。
「(…ん?)」
西海と菜々子?
「(西海、私がいないことをいいことに菜々子を狙ってんのか)」
西海が菜々子のことを好きだってことは、もうサッカー部の中では有名なことで。
まぁ菜々子は気づいてないけど。
頑張るねぇ、と思いながら見てて 気づく。
「(そーいえば…篠原くんって)」
菜々子の事、好きなんだっけ。
頭の中で、一つの考えが頭に浮かぶ。
なるほど、西海と菜々子が一緒にいるのが不安ってことね。
篠原くんを通り過ぎようとしていた足をUターンさせ、篠原くんに声をかける。
「そんなに心配?」
「っ、え…?!」
驚いたように私に振り向く篠原くん。
ほー、近くで見ると これまた整った顔。
「あ、えっと、」
「英 雪音」
「あ、百瀬さんと一緒にいる…」
「なにその菜々子のおまけみたいな言い方」
「あ、ごめん、そういうわけじゃ」
「わかってるから謝んな」
「ご、ごめ」
「謝んな」
「う、うん」
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作者名:向日葵 | 作成日時:2016年2月3日 10時